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2023年10月9日の新作昔話
制作 「ハブルータ・Havruta」
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
制作 「ハブルータ・Havruta」
夏の日差しがまぶしい昼下がり、
アリたちは今日もせっせと食べ物を運んでいます。
汗を流しながら、毎日こつこつ「よいしょ、よいしょ!」
その一方、
大きな葉っぱを日よけにして、キリギリスは すやすやと眠っていました。
夜通し大好きなバイオリンを弾いているので、昼間は眠いのです。
ある日、キリギリスが目を覚ますと、アリが列になっていました。
「アリさん、何をしているの?」
「食べ物を家まで運んでいるのさ」
「なーんだ、わざわざ家にまで運ばなくても、周りにいくらでもあるじゃない。
食べたい時に、好きなだけ食べたらいいんだよ」
「でもね、今はたくさんあるけど、冬になったら無くなるよ。
今からためておかないと、あとで困ることになるからね」
「えー、まだ夏なのに?今から?」
冬を知らないキリギリスは、アリの言っていることが分かりませんでした。
やがて、夏が終わり、秋が来て、
木枯らしと共に、寒い冬がやってきました。
キリギリスは食べ物を探しますが、周りは雪にうまって何もありません。
「お腹がすいたなぁ…
アリさんの言う通りだったなぁ…」
(弱々しいノックの音)
「アリさん… 助けてください。食べ物を少し分けてもらえませんか?」
アリは思いました。
『夏は気ままに遊んでばかりだったのに、
今になって食べ物を分けてくれって???』
なんだか納得がいきません。
ですが、こごえてやつれたキリギリスを放ってもおけず…
「次の夏は、絶対に冬支度を忘れないでね!」
そう約束をして、家に迎え入れてあげました。
キリギリスは、アリたちに感謝して、その冬をすごしました。
そして、再び夏が訪れました。
キリギリスは夜、バイオリンを弾くのをやめ、昼間せっせと働きました。
アリを見習って、冬支度にはげみます。
すると、周りからこんな声が聞こえてきました。
「今年の夏の夜は、なんだか寂しいね…」
「バイオリンを聴きながら寝るのが、大好きだったのに…」
「そうそう、バイオリンを聴いていると、昼間の疲れがとれるのよね」
「またあのバイオリンを聴かせてほしいなぁ」
思いもよらない言葉に、キリギリスはおどろきました。
「ぼくのバイオリンが、誰かの役に立っていたなんて!」
嬉しくて、とっても幸せでした。
それから毎晩、時間がたつのも忘れて、大好きなバイオリンを弾きました。
昼間、眠くてつらいけど、冬支度も頑張りました。
そんなキリギリスを見ながら、アリは気づきました。
『彼のバイオリンは、みんなの心をいやしてくれる、
彼にしかできない、素晴らしいお仕事なのかもしれないな』
そして、アリは言いました。
「ねえ、キリギリスさん、冬の心配はしなくていいよ。
ぼくたちが、君の分も集めるからさ、
だから昼間は休んで、夜はみんなのために心を込めて弾いてあげてね!」
キリギリスは、胸がいっぱいになりました。
やがて冬になり、アリの家をのぞいてみると…
テーブルいっぱいにごちそうを並べ、
キリギリスのバイオリンに合わせて、みんな輪になって楽しくおどっていました。
おしまい
福娘童話集バージョン
アニメサイズ
Max 1920×1080 字幕「日本語」「英語」「中国語」
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イラスト myi
アリとキリギリス
ひらがな ←→ 日本語・英語 ←→ English
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投稿者 「オス我飢」 ♂我飢【OsuGaki】 ASMRシチュエーションボイス
♪音声配信(html5) |
|
音声 得本綾(コトリボイス) ラジオHP |
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夏のある日、キリギリスが野原で歌を歌っていると、アリたちがぞろぞろ歩いてきました。
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「おい、アリくんたち。そんなに汗をびっしょりかいて、何をしてるんだい?」
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「これはキリギリスさん、わたしたちは食べ物を運んでいるんですよ」
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「ふーん。だけど、ここには食べ物がいっぱいあるじゃないか。
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どうして、いちいち家に食べ物を運ぶんだい。
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おれみたいに、お腹が空いたらその辺にある食べ物を食べて、
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あとは楽しく歌を歌ったり、遊んだりしていればいいじゃないか」
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「でもね。キリギリスさん。
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今は夏だから食べ物がたくさんあるけど、
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冬が来たら、ここも食べ物はなくなってしまいますよ。
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今のうちにたくさんの食べ物を集めておかないと、
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あとで困りますよ」
アリたちがそう言うと、キリギリスはバカにした様に、
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「ハハハハハハッ」
と、笑って。
「まだ夏が始まったばかり。冬の事は冬が来てから考えればいいのさ」
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そう答えると、また歌を歌い始めました。
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さて、それからも毎日キリギリスは陽気に歌って暮らし、
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アリたちはせっせと家に食べ物を運びました。
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やがて夏が終わり、秋が来ました。
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キリギリスは、ますます陽気に歌を歌っています。
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そしてとうとう、寒い寒い冬がやって来ました。
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野原の草はすっかり枯れ果て、キリギリスの食べ物は1つもなくなってしまいました。
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「ああ、お腹が空いたな。
困ったな。
どこかに食べ物はないかなあ。
・・・あっ、そうだ。
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アリくんたちが、食べ物をたくさん集めていたっけ。
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よし、アリくんたちに何か食べさせてもらおう」
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キリギリスは急いでアリの家にやって来ましたが、アリは家の中から、
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「だから、食べ物がたくさんある夏の間に食べ物を集めておきなさいと言ったでしょう。
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家には家族分の食べ物しかないから、
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悪いけど、キリギリスさんにはあげる事が出来ません」
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と、言って、玄関を開けてくれませんでした。
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キリギリスは雪の降る野原の真ん中で、寒さに震えながらしょんぼりしていました。
今、楽をしているなまけ者は、そのうち痛い目にあうというお話です。
おしまい
※この「アリとキリギリス」は、もとの寓話である「セミとアリ」から変化したお話です。
「アリとキリギリス」以外にも、「セミとアリ」から変化したお話は多くて、「アリとコガネムシ」「アリとコオロギ」「トンボとキリギリス」などがあります。
セミが他の昆虫に変化した理由は、お話しの伝わった国に、その昆虫がいなかったり、お話を伝えた人が勝手に昆虫を変えたりしたからです。
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