百物語 日本の怖いお話し 福娘童話集 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
- 広 告 -
 


福娘童話集 > 日本のこわい話(百物語)

百物語 第26話

酒呑童子

酒呑童子
京都府の民話京都府の情報

♪音声配信
スタヂオせんむ

 むかしむかし、大江山(おおえやま→京都府)に酒呑童子(しゅてんどうじ)と言う、鬼の盗賊がいました。
 酒呑童子はお酒に酔うと、いつも上機嫌になって、ポンポンと頭を叩いて、ニヤニヤと笑うのがくせでした。
 ところが、源頼光(みなもとのよりみつ)たちに退治されてからは、酒呑童子は首だけになってしまいました。
 お酒好きの酒呑童子は、首だけになっても酒を飲むのを止められません。
 昼も夜も、まっ黒な雲に乗って空を飛んで歩き、酒屋を見つけると降りて来て、
 グワグワグワーァ
と、気味の悪い声で脅かして、酒をただ飲みするのです。
 こんなふうにして酒屋を荒らし回ったものですから、京都や大阪では黒雲を見ただけで、どこの酒屋も大戸をおろしてしまいます。
 仕方なく酒呑童子は、黒雲に乗って江戸ヘやってきました。
「ありゃ。あそこに酒屋があるぞ」
 酒屋の前で、ヒラリと雲から飛び降りると、
 グワグワグワーァ
「上等の酒を五升(→9リットルほど)ばかり、かんをつけて持ってこーい!」
 酒屋の者たちは、まっ青になりました。
 持っていかなければ、何をされるかわかりません。
 急いで、かんをつけると、さかずきがわりにどんぶりをそえて、ブルブル震えながら差し出しました。
「ど、どうぞ。手じゃく(→自分でつぎながら酒を飲むこと)で、お飲みなすって」
 置いて逃げようとすると、首が怒鳴りました。
「おい、おい。おれは、このとおり首だけだ。手じゃくではやれん。飲ませてくれ」
と、大きな口をバックリと開けました。
 酒屋の主人は仕方なく、どんぶりについでは飲ませ、ついでは飲ませして、五升の酒をみんな飲ませてやりました。
 童子の首はすっかり酔っぱらって、上機嫌です。
「ああ、久しぶりで、なんともいえん、いい気持ちだ。ついでに、わしの頭をポンポンと叩いてくれ」
と、言います。
 酒屋の主人が怖々ポンポンと叩いてやると、首はいかにもうれしそうに、ニヤッと笑ったそうです。

おしまい

 前のページへ戻る

お話しの移動

・ 福娘童話集
・ 100物語 (こわ〜い話)

百 物 語

・   1話  〜  10話
・  11話  〜  20話
・  21話  〜  30話
・  31話  〜  40話
・  41話  〜  50話
・  51話  〜  60話
・  61話  〜  70話
・  71話  〜  80話
・  81話  〜  90話
・  91話  〜 100話

・ 101話  〜 110話
・ 111話  〜 120話
・ 121話  〜 130話
・ 131話  〜 140話
・ 141話  〜 150話
・ 151話  〜 160話
・ 161話  〜 170話
・ 171話  〜 180話
・ 181話  〜 190話
・ 191話  〜 200話

・ 201話  〜 210話
・ 211話  〜 220話
・ 221話  〜 230話
・ 231話  〜 240話
・ 241話  〜 250話
・ 251話  〜 260話
・ 261話  〜 270話
・ 271話  〜 280話
・ 281話  〜 290話
・ 291話  〜 300話

・ 301話  〜 310話
・ 311話  〜 320話
・ 321話  〜 330話
・ 331話  〜 334話


ジャンルの選択
・有名な話 日本 世界
・こわい話 日本 世界
・わらい話 日本 世界
・感動話 日本 世界
・とんち話 日本 世界
・悲しい話 日本 世界
・ふしぎ話 日本 世界
・恩返し話 日本 世界
・恋物語 日本 世界