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百物語 第145話

ばけもの寺のしゃみせん

ばけもの寺のしゃみせん

 むかしむかし、あるところに、だれもすんでいないオンボロ寺がありました。
 その寺は、おそろしいばけもの寺だといううわさです。
 とまったらさいご、だれひとり、ぶじにかえってきません。
 あるとき、気のつよい男が、
「アッハハハハ。ばけものぐらい、おれがたいじしてみせるわ」
と、ばけもの寺へとまりにいきました。
 男はもってきたさけをのみながら、ばけものがあらわれるのを、いまかいまかとまっていました。
 するとてんじょうから、スルスルスルッと、なにかがさがってきました。
 みると、しゃみせん(→詳細)の弦楽器で、胴体部に、ネコやイヌの皮を張るのが特徴)です。
「なんだ、しゃみせんではないか。どれ、ひまつぶしにひいてみるか」
 男がしゃみせんに手をのばすと、
 ペタリ。
 手がくっついて、はなれません。
「ややっ、これはいかん」
 男はしゃみせんを、足でけとばそうとしました。
 すると、足もペタリ。
 くっついてしまい、どうしてもはなれません。
「こりゃあ、どうしたことだ。なんとかせねば!」
 男があせってもがくと、かみの毛も顔も、しゃみせんにくっついて、どうにもなりません。
「わあーっ、助けてくれー!」
 男が泣きさけぶと、しゃみせんは男をくっつけたまま、こんどは、スルスルスルッと、てんじょうにあがっていきます。
 そしてとうとう、てんじょううらにひそんでいたばけものに、たべられてしまいました。
 さて、やがてこの村に、たびのお坊さんがとおりかかって、ばけもの寺のことを耳にしました。
「ばけものですか。では、わたしがとまってみましょう」
 お坊さんがいうと、
「とんでもねえ」
「ばけものに、くわれてしまうだよ」
 村の人たちがとめました。
「いや、しんぱいはいりません。あしたの朝、ようすをみにきてください」
 お坊さんが、ばけもの寺にとまると、てんじょうからスルスルスルッと、しゃみせんがさがってきました。
 でも、お坊さんは手をだしません。
「てんじょうに、なにかいるようだ。・・・そこだな!」
 お坊さんは、もっていたつえを、てんじょうになげつけました。
 ギャーッ!
 てんじょうで、ものすごいこえがしましたが、そのまましずかになりました。
 朝になり、かけつけてきた村の人と、てんじょううらをのぞくと、たくさんの人の骨といっしょに、人よりも大きなクモが死んでいたということです。

おしまい

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