ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >にほんむかしばなし(日本民间故事) >三月
岩になった鬼
化身岩石的鬼
(日本昔話)
(日本民间故事)
翻訳者 信陽師範学院 呉雲霞
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、鬼の親子が深い山奥に住んでいました。
很久很久以前,深山里住着一对鬼父子。
ある日の事、鬼は子どもの鬼を肩に乗せて、山のふもと近くまで散歩していました。
有一天,鬼爸爸驮着鬼儿子去山脚旁边散步。
すると一人のおじいさんが小さな女の子の手を引いて、トボトボとやって来ます。
然后,一个老爷爷牵着一个小女孩的手,步履蹒跚地走过来。
おじいさんは悲しそうにため息をつくと、空に手を合わせておがみだしました。
老爷爷看似悲伤地叹着气,并在空中合掌礼拜。
気になった鬼は、思わず声をかけました。
产生兴趣的鬼禁不住问:
「じいさん、何をしとる?」
“老爷爷,您有什么伤心事吗?”
いきなり雷の様な声で尋ねられたおじいさんがびっくりして顔を上げると、頭上から恐ろしい顔の鬼が見下ろしています。
老爷爷寻找着突然出现的雷一般的响声,惊讶地抬起头,头顶上正有一个恐怖的鬼脸在俯视着他。
「ヒェーーッ!」
“啊!”
思わず腰を抜かしたおじいさんに、鬼は少し声を小さくして優しく言いました。
老爷爷不由得吓得站不起身,鬼稍稍压低声音温柔地说:
「怖がる事はない。何をしとるか、言ってみな」
“不要害怕。您有什么伤心事吗?和我说说吧。”
「はい。
“好的。
わしらはこの下の浜辺の者で、みんな海で働いております。
我是住在下面河边的人,大家都在海上工作。
だが、毎年夏になると海が荒れて、浜のみんなが犠牲になります。
但是,每年一到夏天,海上就会起风浪,海边的人们就会丧命。
この孫の両親も夏の大波にさらわれ、わしと孫は二人ぼっちになってしまいました。
我的孙女的父母也是被夏天的大浪夺去生命的,只剩下我和孙女二人孤单过活。
そこで神さまに、もう海が荒れん様にと、お祈りしていたところです」
我刚刚就是在向住在那里的神灵,还有让海起浪的诸神祈祷。”
「そうか、それは気の毒にのう」
“这样啊,真是令人同情啊。”
それからしばらくたった、ある日の朝、
之后,只过了不久,有一天早上。
鬼が目を覚ますと、外は大変な嵐でした。
鬼睁开眼睛,看到外面已是猛烈的暴风雨。
鬼は、あのおじいさんの事を思い出すと、うなり声をあげて立ちあがりました。
鬼禁不住想起了那个老爷爷,站起身来发出了呜呜声。
そして鬼は、小山ほどもある岩に抱きつくと、
然后,鬼紧紧抱住一个小山大小的岩石,
「うりゃあっ!」
“呀!”
と、岩を持ちあげて、ズデーンと放り出しました。
然后举起岩石,飞快地抛了出去。
続けてもう一つの大岩も持ちあげ、ズデーンと放り出しました。
又接着举起另一块大岩石,飞快地扔了出去。
そして鬼は長い鉄棒で二つの岩に穴を開けると団子の様に突き刺し、岩を通した鉄棒をかつぎあげて子鬼にやさしく言いました。
然后,鬼用一根长长的铁棍在两块岩石之间开动,扎成了丸子的形状,鬼抬起穿透岩石的铁棍,温柔地对鬼孩子说:
「おとうは浜へ行く。お前はここで待っとれ」
“爸爸去趟海边,你在这里等着我。”
「いやだ、いやだ、おれも行く」
“不要,不要,我也要去。”
「・・・そんなら、この岩の上に乗れ」
“……那样的话,你坐在这个岩石上面吧。”
鬼は腰が砕けそうになるのをこらえて、一歩一歩と山を下って行きました。
鬼爸爸忍着腰痛的感觉,一步步向山下走去。
浜では大波が白いキバの様に、ドドーッと押し寄せて来ます。
海边,大浪就像白色的獠牙,咚咚-----地汹涌而来。
村人が波に流されまいと、家や岩に必死でしがみついています。
村民们,被波浪冲散,都拼命地抱着房子还有岩石。
鬼は子鬼に言いました。
鬼爸爸对鬼儿子说:
「さあ降りろ、お前はここで待っとれ」
“好了,下来吧,你在这等着。”
「いやだ。おとうと離れん」
“不要。我不要离开爸爸。”
子鬼は首を振って、降りようとはしません。
鬼儿子摇着头,怎么也不下去。
「・・・ようし、そんなら泣くなよ!」
“……好吧,那样的话,不许哭了!”
鬼はそう言うと、海へ足を進めました。
鬼爸爸这样说着,继续向海边走去。
大波が狂った様に押し寄せ、鬼にぶつかってきます。
大浪疯狂地卷向鬼爸爸这边。
すさまじい波に足を取られながらも、鬼は必死で前に進みました。
即使被骇人的风浪阻挡了脚步,鬼爸爸仍然拼命地前进。
そして頭まで波につかった鬼は、岩の上の子鬼をおぼれさせまいと岩を高くさし上げ、そのまま海に入りついに姿が見えなくなってしまいました。
然后,被波浪浸到头部的鬼爸爸,为了不让岩石上的鬼儿子溺水,
波は鬼の体とさし上げた岩にさえぎられて、やがて静かになっていきました。
就举高岩石,就那样进入了大海,终于不见了踪影。
そしていつの間にか、鬼の体は岩になりました。
然后,过了一会,鬼爸爸的身体化成了岩石。
「おとう!」
“爸爸!”
岩の上の子鬼は、ワンワンと泣きました。
岩石上的鬼儿子,哇哇大哭着。
泣いて泣いて泣き疲れて、その子鬼もとうとう小さな岩になりました。
哭着哭着哭累了,鬼儿子也慢慢化成了一小块岩石。
今でもこの浜には二つの大岩と、その上にちょこんと乗っている小岩があるそうです。
直到现在,那个海边仍然有两块大岩石,那上面好像还孤零零地有一块小岩石。
おしまい
完结
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