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第 46話
スイカを初めて見た村
鳥取県の民話→ 鳥取県情報
むかしむかし、まだスイカを見たことがない村に、町から来た人がスイカをお土産に持ってきました。
はじめてスイカを見た村人たちは、丸い大きな物にびっくりです。
「なっ、なんだ? この大きな卵は?」
「もしかして、お化けのたまごかもしれんぞ」
「お化けだと!? こんな物を土産にくれるなんて、なんてひどいやつだ」
「仕方ない、思いきって、捨ててしまおう」
「でも、お化けなら、捨ててもまた戻ってくるかもしれんぞ」
すると、一人の若者が言いました。
「それなら、こいつを割って、中のお化けをやっつけよう。さあ、みんなどいていろ、おれがやってやる!」
若者は太い棒切れをつかむと、大きく振り上げました。
「さあ、いくぞ!」
ドシャーン!
若者が思いっきりスイカをたたき割ると、中からスイカの赤い汁が飛び出しました。
「やっぱり、お化けのたまごだった」
「でも、赤い血を出して死んだから、もう大丈夫だろう」
「よかった、よかった」
村人たちは、穴を掘って割れたスイカを埋めると、ほっと胸をなでおろしたそうです。
おしまい
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