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      2月19日の小話 
        
      なべや 
         
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          投稿者 「フー」  ハーリ・クィン朗読館 
      
      
       「えー、なべ、なべ屋でございます」 
   なべ売りが、横町(よこちょう)に入ってきました。 
  「おお、なべ屋。これは良いところに来た。ちょうどなべを買い換えようと思っていたのだが、良いなべ屋はあるかい?」 
  「へいへい、わたしが扱っているのは、どれも上物のなべでございますよ」 
   なべ屋はそう言って、なべの入ったかごを降ろすと、 
  「見て下さい。丈夫そうでしょう。全て保証付きでございます」 
  かごから取り出したなべを、地面に投げてみせました。 
  「ほれ、この通り。なべは傷一つ・・・」 
   なべ売りがそう言ったとたん、投げたなべは運悪く、真っ二つに割れてしまいました。 
   でも、なべ屋は気を取り直して、 
  「これ、この様な不良品は売りませぬから、どうかご安心を」 
      と、言ったそうです。 
      ♪ちゃんちゃん 
(おしまい) 
        
         
         
        
 
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