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第 125話
竜から落ちた神さま
山口県の民話 → 山口県情報
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※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
【大人も子供も眠れる 優しい朗読】日本人の知らない日本昔話集 神話 龍の物語
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制作: フリーアナウンサーまい【元TBS番組キャスター】
むかしむかし、竜護峰(りゅうごほう)というところに、福王(ふくおう)という神さまが住んでいました。
福王はとても若くてたくましい、平和と幸福の神さまです。
ある日の事、福王は旅がしたくなり、
「遠方(えんぽう)の国を視察(しさつ)するのも、わたしの役目だ」
と、竜にまたがって出かけました。
福王がある漁村へ行ったところ、神さまのお出ましを知った村人たちが集まってきました。
福王はすべての村人にめぐみをさずけましたが、それでもなお帰っていかない者がいます。
それは若くてたくましい福王にあこがれる、若い娘たちでした。
福王は竜につんだ袋から小さな玉を取り出すと、それを娘たちに配りました。
「これをお食べなさい。心が落ち着きますから」
娘たちがその玉を口にすると、みんな落ちつきを取り戻して帰って行きました。
しかし一人だけ、残っている娘がいます。
「そなたは、玉を食ベなかったのか?」
たずねる福王に、秋穂(あいお)と名のる娘は答えました。
「はい。宝などほしくありません。ただ、あなたさまのお側においてほしいのです」
「だが、それは出来ない」
「お願いです。お側においてほしいのです」
「しかし」
「お願いです」
「・・・・・・」」
とうとう福王は根負けして、二人で竜にまたがると竜護峰へとむかいました。
しかし竜は、人間をのせることを嫌います。
二人はあと少しと言うところで、竜に田んぼの中へ落とされてしまいました。
この事で福王は神さまの力を失ってしまい人間になってしまいましたが、それからは秋穂としあわせに暮らしたという事です。
おしまい
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