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第 232話

カッパと殿さま

カッパと殿さま
熊本県の民話熊本県情報

日本語 ・日本語&中国語

 カッパはむかし、中国から日本にやって来たと言われています。
 日本へやって来たカッパの大将は、九千坊(くぜんぼう)という名前のカッパで、九千匹の子分(こぶん)を引き連れて海を渡り、九州の球磨川(くまがわ→熊本県南部の川で、長さ115キロメートル。富士川・最上川と共に日本三急流の一つ)にたどり着いたそうです。

 ある時、殿さまが可愛がっていたお付きの者が、カッパに川の中へ引きずり込まれて死んでしまいました。
 殿さまは、とても怒って、
「カッパを一匹残らず捕まえて、みな殺しにしてやれ!
 焼き殺し、大釜で煮殺し、さおに吊して干物にしてやる!」
 殿さまの言葉を聞いたカッパたちは、震え上がりました。
 殿さまは、お坊さんにカッパ封じのお経を読ませてカッパを弱らせ、川に毒草を流させてカッパを川から追い出し、カッパが苦手なサルにカッパを捕まえさせようと計画したのです。
 これを知ったカッパの親分は近くのお寺へ飛んでいって、和尚(おしょう)さんに頼み込みました。
「これからは、絶対に人には悪さをしません。ですから許して欲しいと、殿さまに伝えて下さい」
 カッパの親分は、和尚さんに何度も何度も頭を下げました。
 これには和尚さんも心をうたれて、この事を殿さまに伝えました。
 すると殿さまも、
「・・・そうか。それでは、今度だけは許してやろう」
と、カッパ退治は中止になったのです。
 その後も、この地ではカッパのイタズラが何度かありましたが、
 そのたびにカッパの親分は、
「イタズラをしたのは、きっとよその地から来たカッパでしょう。この地に住むカッパは、あれから一度もイタズラはしていません」
と、言ったそうです。

おしまい

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