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第154話

字の書き方

字の書き方
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 むかしむかし、貧乏な男が必死で働いて、大金持ちになりました。
 大金持ちになった男は何でも欲しい物が手に入りますが、いくらお金を出してもどうにもならない事がありました。
 それは、字が読めない事です。
「手紙が来ても、人に読んでもらわないといけないとは何となさけない事だ。しかしもう年だ、今さら勉強しても字を覚える事は出来ないだろう」
 そこで大金持ちは、せめて子どもには字を覚えさせようと、都から立派な先生を呼び寄せて子どもの家庭教師にしたのです。
「先生、どうか息子をよろしくお願いします」
「よろしい。わたしにお任せください」

 一日目、先生は息子に『一』の字を教えました。
 二日目、先生は息子に『二』の字を教えました。
 三日目、先生が息子に『三』の字を教えると、息子は父親のところへ行って言いました。
「お父さん。
 ぼくは、もう字を覚えてしまったよ。
 最初は難しかったけれど、コツを覚えれば簡単だった。
 だからもう、先生に教えてもらわなくても大丈夫」
 それを聞いた大金持ちは、大喜びで息子の頭をなでました。
「そうかそうか。さすがは我が子だ。お前が字を覚えたのなら、もう先生にはお帰り願おう」
 大金持ちは先生にお礼をたっぷりして、都に帰ってもらいました。

 さて、それからしばらくたったある日、大金持ちは『万さん』という人を家に招待する事にしました。
 大金持ちが、息子に言いつけました。
「すまないが、万さんに手紙を書いておくれ」
「はい。わたしに任せて下さい」
 息子は万さんへの手紙を引き受けると、自分の部屋に入っていきました。
 ところが息子は、いつまでたっても部屋から出てきません。
「おい、そろそろ手紙は書けたか?」
 大金持ちが息子の部屋をのぞくと、息子は書きかけの手紙を指差して言いました。
「すみません。まだまだ時間がかかります。今やっと、五百まで書けたところですから」
「五百?」
「はい。しかし万さんって、時間のかかる名前ですね」
「はあ? 何の事だ?」
 大金持ちが息子の書いている手紙をのぞくと、何と息子は、『一』の字を何本も何本も書いていたのです。

おしまい

※日本にも、似たようなお話しがあります。 万の字

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