|
ある人が、友だちをもてなすつもりで、ごちそうのしたくをしていました。 その人のかっているイヌは、自分も友だちのイヌに、 「きみ、ぼくのところへ、ごちそうを食べにきたまえ」 「すごいなあ。ぼくのために、こんなうまそうなものが出てる。夢(ゆめ)のようだなあ。ようし、腹(はら)いっぱいどんどん食べて、あしたも一日中、腹(はら)がへらないようにしてやろう」 と、考えながら、しきりにしっぽをふっていました。 その家のコックは、さかんにしっぽをふっているイヌをみつけたとたん、足をつかまえて、窓(まど)の外にぽんと放り出(ほうりだ)してしまいました。 「いやあ、お酒(さけ)を飲(の)みすぎて、すっかりよっぱらってしまってね。どこからどうやって出てきたか、おぼえていないくらいなんだ」 おしまい |
|