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4月29日のイソップ童話
オオカミとイヌの戦争
あるとき、オオカミ軍とイヌ軍のあいだに、いがみあいがおきました。
イヌたちは一ぴきのギリシャ犬を大将にえらびました。
ところがこの大将は、オオカミ軍がいくらおどしをかけてきても、いっこうに応戦しようとしません。
「どうしてわたしがぐずぐずしているか、わかりますか」
と、イヌの大将はオオカミにいいました。
「それは、なにごとも、とりかかる前によく考えることが、かんじんだからですよ。それで、見わたしたところ、あなたがたオオカミ軍は、みんな同じ血すじで、同じ毛色をしていますね。ところが、わがイヌ軍は、それぞれたいそうちがったくせを持ったもののあつまりで、どのイヌも自分の生まれた国を自まんにしています。毛の色さえも、まちまちで、黒犬もいれば、茶色のイヌもいる、白いのも、灰色のもいます。こんなに、考えかたからなにからぜんぶちがう連中を、まとめて戦争させるなんて、できそうもありませんからね」
どんな軍隊でも、みんなが心をあわせて勝とうとしなければ、敵を負かすことはできません。
おしまい