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6月29日のイソップ童話
シカとブドウの木
猟師に追われたシカが、ブドウの木のかげにかくれました。
猟師はシカがかくれていることに気がつかないで、そのブドウの木をとおりすぎていきました。
「やれ、助かった。もうだいじょうぶ」
と思ったシカは、ブドウの葉をむしゃむしゃ食べ始めました。
「ガサガサ、ガサガサ」
と、ブドウの葉が音を立てます。
その音を聞いて、猟師はふりかえりました。
風もないのに、ブドウの葉がゆれているのです。
「さては、けだものがかくれているな」
と考えた猟師は、戻ってきてシカを撃ち殺しました。
死ぬ前にシカはこう言いました。
「わたしが殺されるのはあたりまえかもしれない。だって、自分を助けてくれたブドウの葉っぱを食べるなんて、そんなひどいことをしたのだから」
この話は、恩人に対して悪いことをする人は、ひどいしうちが待っていると言うことをおしえています。
おしまい