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8月15日のイソップ童話
お百姓と、その息子を殺したヘビ
ヘビがお百姓の息子のほうへはい寄ってきて、かみ殺してしまいました。
お父さんのお百姓は、悲しくてたまりません。
それで、オノを持ち、ヘビの穴のそばに陣どって、ヘビが出てきたらすぐにたたき殺そうと、待ちかまえていました。
そのうちに、ヘビが一頭、穴から出てきました。
お百姓は「それっ」とばかりオノをふりおろしました。
でも、ヘビは頭をひっこめてしまい、オノはそばの岩を2つにわっただけでした。
こうなると、お百姓はヘビにしかえしをされたらたいへんだ、と思って、こわくなりました。
それで、ヘビに仲なおりをしようといいにいきました。
しかしヘビは首をふって、こう答えました。
「あなたもわたしも、いまさら気持ちよくおつきあいすることはできませんよ。わたしはこの岩のさけ目を見るたびに、また、あなたは息子さんのお墓を見るたびに、いやなことを思い出すのだから」
この話は、深いにくしみを持つ人どうしが、仲なおりできることはめったにない、とおしえています。
おしまい