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11月9日のイソップ童話
  
  
  
片目のシカ
    片方の目しか見えないシカが、海の近くへ出て草を食べ始めました。
    シカは見える目が陸の方に、見えない目は海の方に向くようにして草を食べることにしました。
    陸は猟師が来るかもしれないので、よく見ていなければならないが、海の方は猟師が来ないので安心と思ったのです。
    ところが、近くを船でこうかいしていた人たちが、海辺にいるシカを見つけて船の上からねらい打ちして、シカを殺してしまいました。
    息を引取るまぎわに、シカはつぶやきました。
  「本当にわたしは運が悪い。安心だと思っていた海の方が危険だったなんて」
  
    このように、わたしたちの予想がはずれることはすくなくありません。
    いやだと思っていることが役に立ったり、よいと思ったことが害になる事もあるのです。
おしまい