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12月29日のイソップ童話

ヤギの番入と野生のヤギ

ヤギの番人と野生のヤギ

  ヤギの番人が岩穴からヤギを連れだして、草を食べさせていますと、どこからか野生のヤギがなん匹かやってきて、いっしょに草を食べはじめました。
  日がくれて、岩穴ヘヤギを連れもどすとき、番人は自分のヤギだけでなく、野生のヤギもぜんぶ連れてかえりました。
  あくる日は、大嵐になりました。
  野原の草を食べさせにいくことができないので、番人は岩穴の中でほし草をヤギにやることにしました。
  番人はほし草をわけてやるのに、自分のヤギには、ほんのひとにぎりずつしかやりませんでした。
  うえ死にしないですむだけの、ほんとにちょっぴりです。
  そして、野生のヤギには、はんたいにほし草をたっぷりやりました。
  こうやって、手なずけてやろうと思ったからです。
  嵐がやむと、番人はぜんぶのヤギを野原に連れていきました。
  すると、野生のヤギたちは、いっせいに山のほうへ逃げだしました。
「おーい、おまえたちはひどいぞ。おれを見捨てて逃げるなんて恩知らずだぞ。あんなに大切にしてやったのに」
と番人は、逃げていく野生のヤギにむかってさけびました。
  野生のヤギたちはふりむいて、こう答えました。
「あんまりだいじにするから、信用できなかったんだよ。あったばかりのおれたちを、もとからいたあんたのヤギよりもだいじにするところを見ると、いつかまたあたらしいヤギがまぎれこんでくれば、こんどはおれたちがないがしろにされるにきまっているもの」

  この話は、古くからの友だちをさしおいて、知りあったばかりの友だちをちやほやするような人の友情は、うけいれてはならない、とおしえています。
  こんな人と友だちになっても、しばらくたてば、またべつの友だちをつくって、そちらばかりだいじにするでしょうから。

おしまい

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