１ねんせいのにほんむかしばなし



ネズミの　すもう

　むかしむかし、　あるところに、　まずしいけれど、　こころの　やさしい　おじいさんと　おばあさんが　いました。
　あるひの　こと、　おじいさんが　いつもの　ように　やまへ　いくと、
「ハッケヨイ！　ノコッタ、　ノコッタ」
と、　いう　こえが　きこえて　きます。
「はて、　なんの　こえだろう？」
　おじいさんが　のぞいて　みると、　２ひきの　ネズミが　すもうを　とっていました。
「おや。　たしかあれは、　うちの　やせネズミと、　かねもちの　いえの　ふとっちょネズミだ」
　おじいさんの　いえに　すんでいる　やせネズミは、　ちからが　ないために、　なんどやっても、　ふとっちょネズミに　まけてしまいます。
　おじいさんは　いえに　かえると、　おばあさんに　ネズミの　すもうのはなしを　しました。
「あれじゃあ、　かわいそうだ。　なんとかして、　うちの　やせネズミに、　かたせてやりたいねえ」
　すると　おばあさんが、
「それじゃあ、　うちの　やせネズミに、　おもちを　たべさせて　やりましょうよ。　きっと、　ちからが　つきますよ」
「そうじゃ、　それが　ええ」
　おじいさんと　おばあさんは、　さっそく　おもちを　ついて、　やせネズミの　すんでいるあなに、　ころがしてやりました。
　さて　つぎのひ、　やせネズミと　ふとっちょネズミは、　また　すもうを　とりました。
　でも、　きょうは　おじいさんの　いえの　やせネズミが、　なんどやっても、すもうに　かつのです。
　ふしぎに　おもった　ふとっちょネズミが、　やせネズミに　たずねました。
「やせネズミくん、　どうして　きゅうに、　つよくなったんだい？」
　やせネズミは、　とくいそうに　いいました。
「えへへへっ、　じつはね。　きのう、　おじいさんと　おばあさんが　おもちを　くれたんだ。　だから　ちからが　つよくなったんだよ」
「へえーっ　いいなあ。　ぼくの　いえは　おかねもちだけど、　ケチだから、　おもちを　ついてくれないんだ」
「それなら　いえへ　おいでよ。　おじいさんは　きっと、　こんやも　おもちを　ついてくれるから、　きみにも　はんぶん、　わけてあげるよ」
「ほんとうに！　うれしいなあ」
　それを　きいた　おじいさんは、　２ひきぶんの　おもちを　ネズミの　あなに　いれてやり、　おばあさんは　２ひきの　ネズミに　ちいさな　まわしを　ぬってあげました。
　さて、　いえに　かえった　２ひきの　ネズミは、　おもちと　まわしを　みつけて　おおよろこびです。
　よろこんだ　ふとっちょネズミは、　おみやげに　もってきた　こばんを、　おじいさんと　おばあさんに　あげたので、　おじいさんと　おばあさんは　おかねもちに　なりました。
　まずしくても、　やさしいこころを　もって、ひとに　しんせつに　してあげれば、　いつか、　きっと、　しあわせが　やってきますよ。

おしまい