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11月23日の日本の昔話

上と下

上と下

 あるとき、お百姓(ひゃくしょう→詳細)が畑をたがやしていると、鬼がヌーッと顔を出しました。
「ウヒャーー!」
 お百姓がビックリしていると、
「おい、百姓、おめえ何をしとるだ」
「あ、ああ。うめえ野菜をたんと作ってるだよ。どうだ、ほしけりゃ畑さたがやすのを手伝わんかい」
「ああ、ええとも。うめえ野菜が食えるんならやるだよ」
「けど鬼さんよ、分けるときにけんかになると、おら、おっかねえだべ。今から決めておくことにするべえ。畑の上さできたもんは鬼さんのもの、下にできたもんはおらのものにすべえ」
「よし、おらが上のもんさ、もらうだべな」
 話は決まると、鬼とお百姓は毎日せっせと水をやったり、草をとったり。
 やがてできたのは、とても大きな大根です。
 お百姓はみずみずしい大根を持って帰って大喜び。
 でも、鬼はしなびた葉っぱばかりです。
「おいおい百姓、ずるいぞ。もういっぺんタネをまくだ。で、今度はおらが畑の下、おめえが上のもんさ取るだ」
「ああ、ええとも。今度は鬼さんに下にできたもんば、やるべえ」
 そういいながらまた、ふたりはせっせと働きました。
 やがて夏になって畑にできたのは、まっ赤なイチゴです。
 お百姓は甘い実をカゴいっぱいに入れて帰り、鬼がくきを引っこ抜くと、細い根っこしかついていませんでした。

おしまい

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