福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 1月の江戸小話 > いいそうな顔
1月19日の小話
いいそうな顔
夜のすずみだい(すずむためにつかう、こしかけ)で、パチリパチリと碁(ご)をうっていますと、横から見物している男が、さかんに口を出します。
「おい、しばらくだまっていろ」
と、碁をうっている者はおこりますが、すぐに口だししてきます。
そうこうしているうちに、ここ一番というときになりました。
すると、碁をうっているひとが、いきなり、見物の男の頭をゴツンとなぐりました。
「なにをするんだい」
「どうも、何かいいそうな顔つきだから、いわれぬ前になぐっておくのさ」
おしまい