|
|
3年生の江戸小話(えどこばなし)
寒(さむ)い国
冬の町かどで、二、三人寄(よ)って、話をしておりました。
「今年は、ひどく寒(さむ)うございますな」
「いやいや、このぐらいでは、まだまだ寒(さむ)いほうではありませんよ。加賀の国(かがのくに→石川県(いしかわけん))のほうでは、小便(しょうべん)をするにも、出るそばから、うちおってしなければ、ぼうのようにこおってしまって、しまつにこまるそうです」
それをきいていた、もうひとりの男が、
「もっとめずらしい話では、こんな話がありますよ。越後の国(えちごのくに→新潟県(にいがたけん))では、酒(さけ)などは、ハカリで、はかっては売らぬそうです。何でも、あみぼうであんでから売るそうですよ」
「ほほう、そのようなめずらしい話は、きいたことがありませんな。それで、どのようにしてあみますのかな」
「それは、まず酒(さけ)を板(いた)の上に、チョロチョロと流(なが)せば、糸のように細長くこおります。それをかたっぱしからおこして、あむのだそうです」
おしまい
|
|
|