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４月１８日の小話

おれがいない

　むかし、ひとりの役人が、罪人の坊主をごそうするため、旅をしておりました。
　とちゅうの宿屋で、この坊主が、
「もうすぐ、江戸でございます。お世話になったおれいに、これでもどうぞ」
と、いって、酒を注文し、たらふく飲ませて、役人をよいつぶしてしまいました。
　坊主は、役人の頭の毛をまるぼうずにしてしまうと、その首になわをかけて、逃げてしまいました。
　さて、役人が目をさましてみると、坊主がおりません。
「しまった。逃げられたか」
と、頭に手をやると、ぼうず頭で、おまけに、首になわまでかけてあります。
「おお、いた、いた」
　役人は、大声でいったあと。
「さて、罪人の坊主はここにいるが、役人のおれは、どこにいったのだろう？」

おしまい