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1ねんせいのえどこばなし
ますおとし
むかしは、 ますおとし という やりかたで、 ネズミを とったもので ございます。
これは、 ます(→おこめなどを はかる きの いれもの)を ふせたなかに えさを いれ、 ふちに つっかいぼうをして、 ネズミが はいるように しておきます。
ネズミが えさを たべにはいると、 ぼうが たおれて、 ネズミのうえに ますが おおいかぶさって、 でられなくなるという、 しかけです。
あるとき、この ますおとしに、 ネズミが 1ぴき かかりました。
しっぽだけが、 ますのそとに みえております。
「それ。 ネズミが とれたぞ」
と、 いうので、 いえの ものが みんな よってきました。
「ほほう。 ふといしっぽだ。 このふとさなら、 さぞ、 おおきなネズミだろう」
と、 おやじが いえば、 そばから おくさんが、
「いいえ。 いくら しっぽが ふといからといって、 ネズミが おおきいとは かぎりませんよ。 このなかの ネズミは、 ちいさいですよ」
と、いいましたが、 おやじも まけじと、
「いや、 おおきい」
「いや、 ちいさい」
「いーや、 おおきい」
「いーや、 ちいさい」
と、 たいヘんな いいあらそいに なりました。
それを きいた ネズミが、 ますの なかから いいました。
「チュウ(→ちゅうくらい)、 チュウ(→ちゅうくらい)」
おしまい
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