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1ねんせいのえどこばなし
むりなねがい
びじんとは、 おせじにも いえない おんなが、 ていしゅの うわきで くろうをして、 ポックリと しんで しまいました。
じごくの オニたちが、 おんなを えんまだいおう の ところに つれていくと、
「えんまさまに、 おねがいが ございます。 なにとぞ、 わたしを ゆうれいにして、 しゃば(→にんげんが すんでいる せかい)へ、 かえらせてください。 にくい ていしゅに たたって やらねば、 しんでも しにきれません!」
えんまだいおうは、 これを きくと、
「しかしなあ、 むかしから ゆうれいは びじんが なるものと きまっておる。 きもちは わかるが、 そのかおでは むりじゃ」
「そっ、 そんなあ・・・」
おんなが おちこんでいると、 きのどくに おもった オニたちが おんなに みみうちを しました。
「おい、 ゆうれいでは なく、 ばけものに してもらえ、 ばけものに」
それを きいた えんまだいおうが、 いいました。
「よし、 ばけものと してなら、 そのねがいを かなえてやろう」
「ほんとうですか? このさい、 ばけものでも なんでも かまいません。 いえ、 どうせなら、 ものすごいかおの ばけものに してください。 そのほうが、 ていしゅを おどかすことが できるでしょう」
「うむ、 まかせておけ。 とびっきり ものすごいかおの ばけものに してやる。 それでは いくぞー。 えい!」
えんまだいおうの かけごえとともに、 おんなは じぶんの いえに もどっていました。
(よし、 ていしゅに うらみを はらすぞ。 ・・・しかし、 どんなばけものに なったんだろう?)
おんなは きになり、 もっていた てかがみで じぶんの かおを みてみました。
「・・・!!」
なんと そこに うつっていたのは、 いままでどおりの じぶんの かおだったのです。
おしまい
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