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9月3日の小話
あまざけ
けちな坊さんがおりました。
この坊さん、あま酒(酒かすを溶かし甘味をつけた飲料 →詳細)が大好きで、いつもこっそりと、おし入れで飲んでおりました。
あるとき、こぞうが、外から帰ってきますと、坊さんがいません。
「しめた! このまに、あのあま酒を飲んでやろう」
でも、坊さんにみつかってはたいへんです。
こぞうはさっそく、あま酒を茶わんに入れると、そばのおし入れの戸をあけました。
すると中には、先に坊さんが入っていて、あま酒をすすっているではありませんか。
おどろいたこぞうは、あわてて持っていた茶わんをさし出すと。
「はい、おかわりをお持ちしました」
おしまい