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3年生の江戸小話(えどこばなし)
十二味(じゅうにみ)のとうがらし
♪おはなしをよんでもらう(html5) |
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朗読 : ことのは |
旅(たび)の男が、えん日でにぎわうお寺の前をとおりかかると、とうがらし売りが声をかけました。
「おきゃくさん、世(よ)にもめずらしい、十二味(じゅうにみ)とうがらしはいかがですか?」
「なに? 十二味(じゅうにみ)とうがらしだと? 七味(しちみ)とうがらしなら、どこでもうっているが、十二味(じゅうにみ)とはめずらしいな。よし、みやげにひとふくろ、つくってくれ」
「へい、ではさっそく、おつくりいたしましょう。まず、『赤とうがらし』に、『アサの実(み)』に、そして『青のり』に、『ちんぴ(→みかんの皮(かわ)をほして、こなにしたもの)』に、『さんしょ』を入れて。しまいに、『ケシ』と『すりゴマ』を、よくまぜあわせてと、へい、おまちどおさん」
「おいおい。それでは、どこにでもある七味(しちみ)じゃないか。『赤とうがらし』、『アサの実(み)』、『青のり』、『ちんぴ』、『さんしょ』、『ケシ』、『すりゴマ』。やっぱり、七味(しちみ)ではないか。いったい、どこが十二味(じゅうにみ)とうがらしだ。でたらめぬかしたな!」
たびの男が、くってかかりました。
ところが、とうがらしうりは、ニヤリと、わらい。
「きょうは、ごらんの人出で、だいぶ、ほこりがたっています。したがって、七味(しちみ)とうがらしに、少々のごみ(五味(ごみ))もはいっておりましょう。七味(しちみ)と五味(ごみ)で、十二味(じゅうにみ)とうがらしでございます」
おしまい
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