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1ねんせいのえどこばなし
タコのだしがら
やまおくの あるむらに、 さかなうりが やってきました。
むらの ひとたちが よびとめて、 さかなを いれている おけを のぞくと、 あたまが まるくて、 8ほんあしの ものが ありました。
「これは、 なんという ものかね?」
「タコですよ。 ゆでて たべると、 そりゃあ うまいもんだ」
「へえ、 これが タコと いうものですか。 よし、 かってみよう」
むらの ひとたちは、 さっそく、 おゆを わかして、 タコを ゆではじめました。
タコは まもなく、 まっあかに ゆであがりましたが、 どうやって たべるのか、 だれも しりません。
そこに、 たびの おとこが とおりかかって、
「その、 タコの だしがら(→だしを とった のこりかす)を、 ごちそうして もらえんかのう」
と、 たのみました。
むらの ひとたちは、 たびの おとこに きかれないように、 そうだんです。
「タコの ゆでたものを、 だしがらだと いったぞ。 つまり、 タコは みを くうものでなく、 だしじるを のむものに ちがいない」
「だしがらなんか、 うまくないに きまっているからな。 こんなものを くったら、 せけんしらずと、 おもわれてしまう」
「いくら やまおくぐらしの わしらでも、 だしがらは いらんよ」
と、 おいしい ゆでダコを、 まるごと、 たびのおとこに やってしまい、 みんなで、 ゆでじるを すすりました。
ズズズーーーッ。
おしまい
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