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12月5日の小話
こたつ
こたつ(→詳細)をみたこともない、都から遠くはなれた、いなかの話です。
「おらが村のしょうやさまは、都から、こたつというものを、買ってこられたそうな」
こんなうわさが、パッとひろまりました。
村の者は、
「いったい、こたつとは、どんなものだろう」
みにいきますと、とちゅうで、となり村の五郎兵衛(ごろうべえ)と、すれちがいました。
「よう、いまごろみんなそろって、どこにいくんだ」
と、五郎兵衛がきくので、村の者は、
「これから、こたつをみにいくのさ」
すると、五郎兵衛は、
「そいつは、みにいくことはねえぞ」
「そりゃまた、なぜだ?」
「ばかばかしい、ふとんをかけて、みせねえのだから」
おしまい