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1ねんせいのえどこばなし
だいじゃ
むかしむかしの、 あついなつ。
いしゃが、 びょうにんを ちりょうしての かえりみちに、 あつくて たまらないので、 たいぼくの かげで ひとやすみして すずんでおりますと、 きの うえから だいじゃが おりてきて、 いしゃを ひとのみに してしまいました。
だいじゃの はらのなかへ はいった いしゃは、
「これは こまった。 なんとかして そとへ でたいものだが」
と、 かんがえて いましたが、
「そうだ」
ひざを たたくと、 いつも もっている くすりばこを あけて、 げざい(→うんちを だす おくすり)を とりだして、 パッパッと、 まきちらしました。
すると、 たちまち だいじゃの はらの なかは、 ゴロゴロゴローと おおきなおとが しはじめました。
そして みるみる はげしいげりを おこして、 ザーッと、 いしゃを そとへ だして しまいました。
そとへでた いしゃは、 よろこんで かえろうとして、 ふと、 たいせつな くすりばこが ないのに きづき、
「おお、 しまった。 だいじゃの はらのなかに わすれてきてしまった。 だいじゃよ、 どうか もういちど わしを のんでは くれまいか」
と、 たのむと、 だいじゃは、 げっそりと したかおで、
「ええい、 もういしゃは たくさんじゃ。 かおを みるだけで、 きぶんが わるくなる」
と、 いった そうです。
おしまい
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