１ねんせいのにほんみんわ



とうふとおみそのけんか
ひろしまけん の みんわ

　むかしむかし、　とうふと　おみそは、　けんかばかり　していました。
　あるとき、　とうふが　おみそに　いいました。
「あなたは　いつも　くろい　いろを　していて、　しかも　へんなにおい。　おかげで、　わたしの　しろい　からだまで　よごれて　くさくなるでは　ありませんか」
　すると、　おみそが　おこって　いいました。
「なにが　くさいものか。　にんげんは　このにおいが　すきで、　まいにち　みそしるにして　のむじゃないか。　いくら　いろが　しろくても、　おまえには　あじが　ないじゃないか」
「あじが　ないですって！　とんでもない。　わたしは　いっしょに　にるものによって、　いくらでも　おいしい　あじに　なれるのです。　それにくらべて、　あなたは　いつだって　くさいし、　おまけにからい」
「なんだと。　えらそうなことを　いっても、　おまえは　ほうちょうで　きられたり、　おはしで　くずされたら　おしまいじゃないか」
「わたしは　からだが　くずれたって、　おみそ　みたいに　とけはしませんからね。　どんなに　ちいさくなっても、　とうふは　とうふですよ」
「もう、　かんべんできない！」
　おみそは　くやしくなって、　とうふに　とびかかろうと　しました。
「ちょっと、　まった」
　そこへ、　コンニャクが　とびこんで　きました。
「ふたりとも、　つまらんことで　けんかを　するんじゃない。　このわしを　みてみろ。　いろは　くろいし、　からだは　きられるし、　おまけに　あじもない。　それでも　ジッと　がまんしているんだぞ」
「・・・なるほど」
「・・・たしかに、　そのとおりね」
　とうふと　おみそは、　つくづくと、　こんにゃくの　からだを　みました。
「それに　よくかんがえてみろ。　おまえたちは　もともと、　だいずから　できていて、　いわば　しんせきどうし　じゃないか。　しんせきどうしで　けんかを　するなんて、　とんでもない。　わしなんか、　だれも　しんせきがいなくて、　いつも　ひとりぼっちだ」
　そういって　コンニャクは、　プルプルと　からだを　ふるわせました。
　すると、　おみそが　とうふに　いいました。
「そうだ。　こんにゃくの　いうとおりだ。　しんせきどうしは、　なかよくしなくちゃいかん」
　とうふも　いいました。
「ほんとうに。　へんなことを　いって　ごめんね。　これからは、　コンニャクさんも　いっしょに、　みんな　なかよくしましょう」
　そこで、　とうふと　おみそと　こんにゃくは　いっしょになって、　おみそしるという、　おいしい　りょうりに　なったということです。

おしまい