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1ねんせいのにほんみんわ
もちの なるき
ながさきけん の みんわ
むかしむかし、 あるところに、 おかねもちの にいさんと びんぼうな おとうとが いました。
おとうとは あさから ばんまで いっしょうけんめい はたらきましたが、 それでも びんぼうなのです。
そこで、 にいさんのところへ いって、
「にいさん、 おかねを かしてください」
と、 たのみました。
でも、 けちんぼうな にいさんは、
「おまえなんぞに かすかねは ない!」
と、 おとうとを おいかえして しまいました。
おとうとは、 くやしくて たまりません。
(なんとか、 にいさんを やっつけるほうほうは ないだろうか)
あれこれ かんがえているうちに、 いいことを おもいつきました。
おとうとは やまへ いって かたちの いいきを みつけると、 いえに もってかえりました。
そのまま にわに うえると、 いえに のこっている すべての おこめを むして、 もちを つきました。
おなかが すいていたので、 おもわず たべそうに なりましたが、 そこは がまんして、 そのもちを やまから もってきた きのえだに くっつけました。
そして、 にいさんに きこえるように、 わざと おおきなこえで いったのです。
「すごい すごい。 きに もちが なったぞ!」
おとうとの さわぐこえを きいて、 にいさんが やってきました。
にいさんが みてみると、 なんと きに たくさんの もちが なっています。
にいさんは、 もちのなるきが ほしくなりました。
そこで おとうとに たくさんの おかねを わたして、 もちの なるきを うばうように もってかえりました。
さっそく きに なっている もちを とってみると、 まちがいなく、 ほんものの もちです。
にいさんは よろこんで、 もちを やいて たべました。
そのうちに、 もちは すっかり なくなりました。
「まあいい、 そのうち もちが なるだろう」
と、なんにちも なんにちも、 きに もちができるのを まっていたのですが、 もちは いっこうに できません。
にいさんは とうとう はらをたてて、 おとうとのところへ どなりこんで きました。
「この うそつきめ! あれっきりで あとは、 ただの ひとつも ならないじゃないか!」
すると おとうとは、 すましたかおで いいました。
「にいさんは、 あのきに なっていた もちを みんな たべたのかい? いちばん てっぺんに なっていた、 いちばんおおきな もちも」
「あたりまえだ」
「ああ、 それじゃ だめだ。 その いちばんおおきいもちは、 おやもちだよ。 そのおやもちさえ くわなかったら、 どんどん こどもをうんで、 たくさんの もちが なったのに」
「・・・そう、 そうだったのか」
にいさんは ガッカリして、 とぼとぼと いえに かえっていきました。
おしまい
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