小学生童話 幼稚園・保育園の童話集 福娘童話集
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福娘童話集
にほん むかし ばなし
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にほん みんわ
イソップ どうわ
えど こばなし

おはなし  いちらん

しょうがくせい どうわ
こ う こ く
 


1ねんせいのにほんみんわ

娘に化けた大ウナギ

むすめに ばけた おおウナギ
やまなしけん の みんわ

 むかしむかし、 かいのくに(→やまなしけん)に ウナギさわと いう さわが あって、 そこには たくさんの ウナギが いました。
 あるとしの ことです。
 ちかくの てらで おまつりがあり、 わかものが あつまって おさけを のんでいたところ、 はなしが もりあがって、 ウナギさわの ウナギを とろうと いうことに なりました。
「しかしな、 1ぴきや 2ひきを とったところで おもしろくもない。 いちどに なんびゃっぴきも とるほうほうは ないだろうか?」
 だれかが そういうと、 いちばん としうえの わかものが、
「あるぞ。 どくまんじゅうを ウナギさわに なげこめば、 ウナギは みんな ういてくる。 あとは それを ひろうだけだ」
と、 いったのです。
「なるほど、 そいつは めいあんだ。 よし、 みんなで ぜんぶのウナギを とってしまおう。 まちへ うりにいけば、 たいしたおかねに なるぞ」
 さけの いきおいも てつだって、 あつまっていた わかものたちは みんな さんせいしました。
「では さっそく、 どくまんじゅうを つくろう」
 いちばんとしうえの わかものは、 いえに もどって どくの こなを もってきました。
 それぞれが つちで どろのダンゴを つくると、 どくの こなを ダンゴに まぜて どくまんじゅうの できあがりです。
 すると そこへ、 みたこともない むすめが やってきて、
「おまえたち、 バカなことを するもんじゃない! そんなことを したら ウナギさわの ウナギばかりか、 さかなまで しんでしまうじゃないの!」
と、 いったのです。
 それをきいて、 いちばん としうえの わかものが いいました。
「たしかに、 おまえさんの いうとおりだ。 よし わかった。 どくまんじゅうを さわに なげこむのは かんがえなおそう。 それより きょうは おまつりだ。 おまえさんも いっしょに さけを のんでいけ」
「おら、 さけは のめない」
「ならば、 ごちそうでも たべていけ」
 わかものたちは むすめが きたのを よろこんで、 どくまんじゅうづくりを やめると むすめを もてなしました。
 むすめは、 だされるものを つぎつぎと たいらげると、
「ああ、 すっかり ごちそうに なってしまって。 そんなら、 どくまんじゅうは もう つくらんでくれよ」
と、 おれいを いって でていきました。
 さて むすめが いなくなると、 いちばん としうえの わかものが いいました。
「ふん、 どこの むすめか しらんが、 よけいなことを いいおって。 さあ、 はやく どくまんじゅうを つくってしまおう」
「そうとも。 グズグズしていたら、 ひが くれてしまうぞ」
 わかものたちは どくまんじゅうを ふくろに つめると、 おおよろこびで ウナギさわへと むかいました。
 きょうは おまつりなので、 さわには さかなを つるひとも おらず、 シーンと しずまりかえっています。
「そろそろ、 はじめるぞ」
 わかものたちは どくまんじゅうを つかんで、 さわへ なげこみました。
 しばらくすると、 ウナギや さかなが つぎつぎと うかんできて、 よろよろと およぎまわったあと、 しろいおなかを みせたまま うごかなく なってしまいました。
「やったぞ!」
 よういした カゴは、 たちまち ウナギや さかなで いっぱいに なりました。
「さて、 ひきあげると するか」
 わかものたちが カゴを かついで たちあがろうと すると、 ふとさが 6センチ、 ながさが 12メートルもある おおウナギが うかんで きたのです。
「なんとも でっかいウナギじゃ。 かばやきに すれば、 あれ1ぴきで なん10にんまえも あるぞ」
 よろこんだ わかものたちは おおウナギを つかまえて、 きしへと はこびあげました。
 そして ほかのウナギと いっしょに、みんなで おおウナギを かつぐと、 いちばん としうえの わかものの いえへ もどって いきました。
 そして、 このおおウナギを りょうりして、 みんなで たべようと いうことに なったのです。
「よし、 いくぞ」
 いちばん としうえの わかものが、 ほうちょうで おおウナギの おなかを さきました。
 すると、
「なんだ、 これは!」
 なんと おおウナギの おなかの なかから、 あのむすめが たべた ごちそうが つぎつぎと でてきたのです。
 これには、 さすがの わかものたちも ビックリです。
「さっきの むすめは、 このおおウナギが ばけたものに ちがいない。 このおおウナギは さわの ぬし じゃ。 こんなものを たべたら ばちが あたるぞ」
 わかものたちは とってきた ウナギや さかなを なげすてて、 おおあわてで いえに かえっていきました。
 そんなことが うわさになり、 わかものたちは もちろんのこと、 ちかくの むらの ひとたちも、 だれひとり ウナギさわへ さかなを とりにいくひとは いなくなったと いうことです。

おしまい

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