１ねんせいのにほんみんわ



だいく の かみさま と あめひと
かごしまけん の みんわ

　むかしむかし、　あるところに、　とても　うでのいい　だいくさんが　いました。
　でも、　この　だいくさんには、　まだ　およめさんが　いません。
　そこで、　おなじむらに　きれいな　むすめさんが　いたので、
「ぜひ、　わたしの　よめに　なってください」
と、　おねがい　したのです。
　すると　むすめさんは、　よめに　なるのを　ことわるために、
「たたみが　６０まいも　ある、　おおきな　いえを　１にちで　たてることが　できたら、　あなたの　よめに　なりましょう」
と、　できも　しないことを　いったのです。
　だいくさんは、　どうしても　むすめさんを　およめに　したかったので、
「よろしい。　１にちで　たてましょう」
と、　いって　しまいました。
(さて、　ああは　いったものの、　よわったなあ。　どうしよう？)
　だいくさんは　しかたなく、　ワラにんぎょうを　２０００こも　つくって、　なにやら　おいのりを　しました。
　そして、　ワラにんぎょうに　フゥーーーッと、　いきを　かけると、　ふしぎなことに　ワラにんぎょうは　たちまちにんげんの　だいくさんに　なって、　あっというまに　たたみが　６０まいも　ある　おおきないえを　たてることが　できたのです。
　だいくさんは　おおよろこびで、　さっそく　むすめさんの　ところへ　いくと、
「やくそくどおりに　いえを　たてたから、　わたしの　よめに　なってください」
と、　いいました。
「ほんとうに？」
　むすめさんが　いってみると、　そこには　おおきくて　りっぱな　いえが　たっています。
　やくそくどおりの、　たたみが　６０まいも　ある　いえです。
「しかたありません。　あなたの　よめに　なりましょう」
　そういって　むすめさんは、　だいくさんの　およめさんに　なりました。
　だいくさんは　おおきないえで、　およめさんと　なかよく　くらしました。
　そして　２０００にんの　だいくさんたちは、　あちこちの　くにへ　でかけて、　いえを　たてたり、　はしを　つくったり　しました。
　ところが　なんねんか　すぎたころ、　およめさんが　だいくさんに　いいました。
「いままで　だまって　いましたが、　わたしは　にんげんではなく、　てんの　くにから　やってきた　あめひと(→てんから　きた　ひと)です。　そろそろ　てんの　くにへ　もどらなくては　なりません」
　すると、　だいくさんも　いいました。
「じつは、　わたしも　にんげんでは　ありません。　わたしは　てんご　という　だいくの　かみです。　それでは、　いっしょに　てんのくにへ　いって　くらしましょう」
　そこで、　あちこちに　でかけている　２０００にんの　だいくさんを　よびもどして、　ひとりひとりに　いきを　ふきかけて、　もとの　ワラにんぎょうに　かえました。
　かみさまは　せんこの　ワラにんぎょうを　うみへ、　のこりの　せんこの　ワラにんぎょうを　やまへ　いかせることに　しました。
　かみさまが　おいのりすると、　すぐに　かぜが　ふいてきて、　ワラにんぎょうを　うみと　やまに　はこんでいきました。
　やがて　かみさまと　あまひとは、　てんたかく　のぼって　いったのです。

おしまい