小学生童話 幼稚園・保育園の童話集 福娘童話集
ふくむすめ童話集 > 小学生童話 > 3年生むけ > 日本民話(にほんみんわ) > 地獄めぐり 栃木県の民話
         メ ニ ュ ー

福娘童話集
3年生の日本むかしばなし
3年生の世界むかしばなし
3年生の日本みんわ
3年生のイソップ どうわ
3年生のえど こばなし

3年生のおはなし  いちらん

小学生 どうわ
こ う こ く
 


3年生の日本民話(にほんみんわ)

地獄めぐり

地獄(じごく)めぐり
栃木県(とちぎけん)の民話(みんわ)

♪音声配信(html5)
朗読者 ; 創作活動のサイト 『Web団 零点』

 むかしむかし、日光(にっこう)の寂光寺(じゃっこうじ)というお寺に、覚源上人(かくげんしょうにん)というお坊(ぼう)さんがいました。
 ある日のこと、上人(しょうにん)は横(よこ)になって休んだままの姿(すがた)で死(し)んでしまったのです。
 でも、上人の体はまるで生きているようにあたたかでした。
 たしかに息(いき)もせず、心臓(しんぞう)も止まっているのですが、ふつうの死人(しにん)とは違(ちが)います。
 人々はこまってしまい、どうしたものかと考えているうちに、十七日が過(す)ぎてしまいました。
 すると突然(とつぜん)、上人がパッチリと目をあけたのです。
 上人は、心配(しんぱい)そうに集(あつ)まっていた人々を見まわして言いました。
「どうやら、わしは今まで死(し)んでいたようだな。みなさん、ご心配(しんぱい)をおかけしてすまなかった。実(じつ)はわしは、たった今、めいどの旅(たび)から帰ってきたところなのじゃ。ちょうどよい、みなさんにぜひ話しを聞かせたい」
 そう言って上人は、不思議(ふしぎ)な話しを始(はじ)めました。
「ふと気がついたわしは、雲にのってまっ暗(くら)やみの中を、どこまでもどこまでも進(すす)んでいったんじゃ。
 すると、ほのおにつつまれた山門(さんもん)があってな、そこには(おに)が立っておった。
 これが有名(ゆうめい)な地獄門(じごくもん)だと、わしは思った。
 門をくぐると、そこはえんま堂(どう)でな、えんま大王の前には大勢(おおぜ)いの人々がならんでおり、その人々をえんま大王がさばくのじゃ。
 一番前の男が、えんま大王の前に引き出されると、こう言った。
『大王さま、あっしはじごくに落(お)ちるようなことは、何もしちゃあいません』
 するとえんま大王は、おそろしい声でどなった。
『だまれ! お前はイヌを三匹(3びき)、ネコを六匹(6ぴき)、殺(ころ)したであろう!』
『へい、たしかに。しかし、イヌやネコを殺(ころ)しても、地獄(じごく)へ落(お)とされるんで?』
『当たり前だ! たとえ虫一匹(むし1ぴき)とはいえ、命(いのち)のありがたみは人間と同じ、おもしろ半分で殺(ころ)せば罪(つみ)となる。お前は地獄(じごく)へ行き、五百年間、鉄棒(てつぼう)でうたれつづけるがよい!』
 えんま大王がいうと、鬼(おに)たちがやってきて、その男をひきたてていったんじゃ。
『つぎ、前に出い!』
『どうとでも、好(す)きにしろ! 地獄(じごく)行きはかくごの上だ』
『そうか。お前のように反省(はんせい)の色がないやつが、もっともつみが重(おも)い。お前のいくのは黒縄地獄(くろなわじごく)だ。そこで一千年のあいだ、熱(あつ)く焼(や)かれた鉄(てつ)の縄(なわ)で体をしばられつづけるのだ。よし、次(つぎ)!』
 こうしてえんま大王は、地獄(じごく)に落(お)ちた人間を次々(つぎつぎ)にさばいていかれてな、とうとうわしの番がきたんだ。
 するとえんま大王は、こういったのじゃ。
『覚源(かくげん)よ、お前をここへよんだのは、罪人(つみびと)としてではない。お前も見ておったように、近ごろは地獄(じごく)へ来る人間の数がふえるばかりだ。これは悪(わる)いことをすれば、死後(しご)に地獄(じごく)へ落(お)ちるということを忘(わす)れているからではなかろうかと思ってな。そこで人々に説教(せっきょう)する役目(やくめ)のそなたに、地獄(じごく)のおそろしさをよく見てもらって、ここへくる人間が一人でも少なくなるよう、人々に話してもらいたいのじゃ』
と、いうわけで、わしは地獄(じごく)(めぐ)りをすることになった。
 地獄(じごく)ではな、どんなに苦(くる)しくても、死(し)ぬことは出来んのじゃ。
 たとえ体を切りさかれても、いつの間にか元へもどっていて、永遠(えいえん)に苦(くる)しみがつづくのじゃ。
 重(おも)い荷物(にもつ)をせおって、ハリの山をのぼっていく人々。
 熱(あつ)い血(ち)の池で、もがき苦(くる)しむ人々。
 地獄(じごく)には、そんな人々のさけび声や、うめき声がつづいておる。
『よいか、死(し)んでまでこんな苦(くる)しい思いをすることはない。人間は、こんなところへきてはならんのだ』
と、えんま大王がいうたんじゃ。
『よくわかりました。この覚源(かくげん)、のこる人生をかけて、一人でも地獄(じごく)へ来る人間が少なくなりますように、説教(せっきょう)をつづけましょう』
 えんま大王にこう約束(やくそく)して、わしは地獄(じごく)から帰ってきたのじゃ」
 その後、上人は一人でも多くの人が地獄(じごく)の苦(くる)しみから救(すく)われるようにと、地獄(じごく)の話を語ったという事(こと)です。

おしまい

前のページへ戻る


       福娘のサイト

366日への旅
きょうの記念日
毎日の素敵な記念日をイラスト付きで紹介。
きょうの誕生花
毎日の誕生花を花写真付きで紹介。
きょうの誕生日・出来事
有名人の誕生日やその日の出来事と性格判断
       福娘のサイト

子どもの病気相談所
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
       福娘のサイト

世界60秒巡り
世界60秒巡り
世界の国旗・国歌・国鳥・観光名所などを紹介。
世界遺産巡り
日本と世界の世界遺産を写真付きで紹介。
都道府県巡り
47都道府県の豆知識。
県章、県鳥、県花、観光名所など。