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10月30日の日本民話
  
  
  
ほらふき村は子どもまで
京都府の民話 → 京都府情報
 むかしむかし、あるところに、ほらふきじまんのおじいさんがすんでいました。
  「おれにかなうほらふきはどこにもおるまい。よし、ほらくらべにいってみよう」
  と、ほらふきで有名な、ほらふき村へいったのです。
   ほらふき村につきましたが、村には大人はだれもいません。
   小さい子どもが一人だけいたので、おじいさんはたずねました。
  「ぼうや、お父さんはどこいった?」
  「ああ、富士山(ふじさん)が地震でかたむいたんで、竹を二、三本きって、つっかいぼうをしにいったよ」
  「それでは、お母さんはどこいった?」
  「琵琶湖(びわこ)の水がもれだして、空っぽになるといって、おはぎを三つもって、湖のそこをぬりにいったよ」
  と、子どもなのに上手なほらをふくので、おじいさんはビックリしましたが、こんな子どもに負けてたまるかと、おじいさんもほらをふいてみました。
  「わしはなあ、きのうは奈良へいって、大仏殿(だいぶつでん)でハックショーン! と大きなくしゃみしたら、大仏さんがこっちの村まで飛んでしもうたんだ。わしはそれを探しに来たんだよ」
   それを聞いた小さい子は、ケラケラ笑い出しました。
  「なーんだ、その大仏さんやったら、きのう、あそこのクモのすにひっかかって、ゆーらゆーら、ゆれとったよ」
  「・・・・・・」
 ほらふきじいさんは、子どもでさえこれだけのほらをふくのだから、大人ではとうていかなわないと、そそくさと逃げて帰ったという事です。
おしまい