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11月18日の日本民話
ダルマの神さま
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むかしむかし、達磨寺(だるまじ)という村があり、古くて大きい彼岸桜(ひがんざくら)の大木がある寺のお堂に木で作られた、色のはげ落ちたダルマさんがまつられていました。
毎年夏になると、子どもたちがやって来て、
「ダルマさん、おらたちと遊んでくれろ」
と、ダルマさんをかついで行って川に投げ入れると、水に浮いたダルマさんを相手に、子どもたちは暗くなるまで遊ぶのでした。
そしてある日の事、子どもたちは寺へダルマさんを返すのを忘れてしまったのです。
ダルマさんは一人ぼっちで川に浮いていましたが、そのうちに流れにのって流れ始めました。
川に流れてから三日目には、酒田(さかた)という浜辺へ流れつきました。
色のはげ落ちたダルマさんに浜辺の人たちはだれも気付きませんでしたが、通りかかった村の庄屋(しょうや)さんが、
「おおっ、これはかわいそうに。ダルマさま、どうか私の家でお休み下さい」
と、床の間にまつっておいたのです。
さて、ある夜の事です。
庄屋さんの夢の中に、あのダルマさんが現われて、
「川をのぼっていったところにある、大きな彼岸桜の寺がわしの家じゃが、はやり病が出て村人がこまっておる。早く戻って病をおさめなければならぬので、すまんがわしを背負って行ってくれ。むろん、お前さまの恩は決して忘れぬ。はやり病が出た時は、必す戻って来よう」
目を覚ました庄屋さんは、
「ダルマさまのおっしゃる事だ、聞いてあげねば」
と、さっそく旅じたくをしてダルマさまを背負い、大きい彼岸桜のある村をさがして、無事にお寺のお堂にダルマさんをおさめたのです。
「おおーっ、ダルマさまが戻ったぞー!」
と、村人たちは大喜びで、そっそくダルマさんをおがむと、はやり病はたちまちなおってしまったという事です。
おしまい