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てんし(Angel)

てんし

(アンデルセンどうわ)

♪にほんごのろうどく
TIME 6:46   ろうどく 亜姫の朗読



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 むかしむかし、てんし が しろいはね を ひろげながら、これから かみさま の ところ へ いく おんなのこ に はなして きかせました。

「いいですか。

 しんで かみさま の ところ へ いく こども には、この わたし の ような てんし が むかえにくるのですよ。

 そして、そのこ が いちばん すきだった ところ へ つれていって、いっしょ に はな を あつめるのです。

 その はな は かみさま の ところ へ もっていく と、ちじょう に あったときより も ずっとずっと きれい に さくのです。

 なかでも、かみさま が とくべつ に キス なさった はな は、こえ が でるように なって うた を うたうのです」

 そういって てんし は、おんなのこ と いっしょ に おんなのこ が いちばん すきだった こきょう の はなぞの へ とんでいきました。

「さあ、どの はな を もっていくのですか?」

 てんし が たずねる と、おんなのこ は バラ の き を ゆびさしました。

 てんし が みてみる と いっぽん の えだ が おれていて、ひらきかけた つぼみ が ひからびて いたのです。

「かわいそうに。では、かみさま の ところ で はな が さきますように」

 てんし は、にっこりして その はな を とりました。

 それから ふたり は、きれいな はな を たくさん つみました。



 さて、はな を つんでしまう と、てんし は おんなのこ を よる の まち に つれていきました。

 その くらい みちばた には、がらくた が やま の ように つんであります。

 てんし は その がらくた に ある うえきばち の かけら に はいった、ひからびた ののはな を ゆびさしました。

「あれも、もっていきましょうね。そのわけ は、とびながら はなしてあげますよ」

 こうして ふたり は、かみさま の ところ に むかって とんでいきました。

 てんし は とびながら、おんなのこ に はなしました。

「さっき の まち の せまい ちかしつ には、びょうき の こ が いました。

 その こ の あそび と いったら、おひさま が さんじゅっぷん ぐらい さしこむ まど から、ひかり に て を かざしてみる ぐらい の ものでした。

 その こ が はじめて はる の もり を しった のは、となりのこ が もってきてくれた みどり の えだ を みた ときです。

 その えだ を あたま の うえ に もっていく と、ことり が いっぱい さえずっている もり の なか に いるような き が したのです」

 おんなのこ は、てんし の かお を のぞきこみました。

 てんし は おんなのこ に、やさしく ほほえみました。

「それから、となり の こ は ののはな を もってきてくれました。

 その はな には ね が ついていた ので、びょうき の こ は うえきばち に うえて たいせつ に せわ を しました。

 おかげ で はな は すくすく と そだって、まいとし さく よう に なり、その こ の たからもの に なったのです。

 だって、はな は その こ の ため だけ に きれい に さいて、いい かおり を ふりまいていたんですもの」

 てんし は、おおきく はばたきました。

「でも、やがて びょうき の こ は、はな を みながら しんでしまいました。

 その はな は わすれられて、ひからびて、すてられて しまったのです。

 それ が、この はな なのです。

 だから この はなは 、どんな に りっぱな にわ の はな より も、ずっと すてきなのですよ」

 はなし を きいた おんなのこ は、てんし に たずねました。

「ふーん。でも、どうして そんなに、その はな の こと を しっているの?」

 てんし は ニッコリ わらう と、こえました。

「それはね。わたし が、その びょうき の こども だったのですよ」



 ちょうど そのとき、ふたり は かみさま の くに に つきました。

 かみさま は ひからびた ののはな に キス を して、こえ を あたえて くれました。

 それから かみさま は、やさしく おんなのこ を むね に だいて いいました。

「よく きたね。これから は、きみ が しんだ こどもたち を ここ へ つれて くるのだよ」

「えっ? わたしが?」

 き が つく と、かみさま に だかれた おんなのこ の せなか には、ちいさな まっしろい はね が はえていました。

 おんなのこ は、てんし に なったのです。

おしまい

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