昔話の英語《Hukumusume fairy tale collection》昔話の英語 日本語昔話の英語《Hukumusume fairy tale collection》 Hukumusuem fairy tale collection
 


ふくむすめどうわしゅう > がいこくご (にほんご) > せかいのむかしばなし

しあわせのおうじ(The Prince of Happiness)

しあわせ の おうじ

(ワイルドのどうわ)

おりがみをつくろう ( おりがみくらぶ より)
つばめの折り紙つばめ

♪にほんごのろうどく
TIME 9:05   ろうどく ことば工房



にほんご ←→ にほんご & えいご ←→ えいご

 むかしむかし、ある まち には、うつくしい『しあわせ の おうじ』 の ぞう が ありました。

 その『しあわせ の おうじ』 の からだ には、きんいろ に ひかりかがやく きんぱく が はって あります。

 あおい ひとみ は サファイア で、こし の けん には おおきい ルビー が ついています。

 まち の ひとたち は、この すばらしい おうじ の ように しあわせ に なりたい と ねがいました。



 ふゆ が ちかづいてきた、ある さむい ゆうがた の こと です。

 まち に、いちわ の ツバメ が とんできました。

「ふうーっ。ずいぶん と、おくれちゃったな。みんな は もう、エジプト に ついたのかなあ?

 きょう は ここ で やすん で、あす たび に でよう」

 ツバメ は しあわせ の おうじ の あしもと に とまり、そこ で ねむろう と しました。

 すると ポツポツ と、しずく が おちて きました。

「あれれ、あめ かな? くも も ないのに、へん だな。・・・あっ、おうじさま が ないている。もしもし、どうした の ですか?」

 ツバメ が たずねる と、おうじ が こたえました。

「こうして たかい ところ に いる と、まちじゅう の かなしい できごと が め に はいって くるんだ。

 でも ぼく には、どうする こと も できない。だから ないて いるんだよ」

「かなしい できごと?」

「ほら、あそこ に ちいさな いえ が あるだろう。こども が びょうき で、オレンジ が たべたい と ないている。

 おかあさん は いっしょうけんめい はたらいて いる が、まずしくて かえないんだ」

「それ は、おきのどく に」

「ツバメくん、おねがい だ。ぼく の けん の ルビー を、あそこ へ はこんで おくれよ」

「うん。わかった」

 ツバメ は おうじ の こし の けん の ルビー を はずして、ねつ で くるしんでいる おとこのこ の まくらもと に ルビー を おきました。

「つらい だろう けど、がんばってね」

 ツバメ は つばさ で、おとこのこ を そっと あおいで かえってきました。

 おうじ の ところ へ かえってきた ツバメ は、ある こと に きづきました。

「ふしぎ だな。こんな に さむい のに、なんだか からだ が ポカポカ するよ」

「それ は、きみ が よいこと を したからさ。ツバメくん」



 つぎ の ひ、おうじ は また ツバメ に たのみました。

「ぼく の め の サファイア を ひとつ、さいのう の ある まずしい わかもの に はこんで やって くれないか?」

「でも ぼく、そろそろ しゅっぱつ しなくちゃ」

「おねがい だ。きょう いちにち だけ だよ。ねえ、ツバメくん」

「・・・うん」

 ツバメ が サファイア を はこんで やる と、わかもの は め を かがやかせて よろこびました。

「これ で パン が かえる! さくひん も、かきあげられる ぞ!」



 つぎ の ひ、ツバメ は きょう こそ、たび に でる けっしん を しました。

 そして おうじ に、おわかれ を いいました。

「おうじさま。これから ぼく は、なかま の いる エジプト に いきます。

 エジプト は とても あたたかくて、おひさま が いっぱい なんです」

 けれど おうじ は、また たのみ ました。

「どうか、もう ひとばん だけ いて おくれ。あそこ で、マッチうり の おんなのこ が ないているんだ。

 おかね を かせがない と おとうさん に ぶたれる のに、マッチ を ぜんぶ おとして しまったんだ。

 だから のこった サファイア を、おんなのこ に あげて ほしいんだ」

「それでは、おうじさま の め が みえなくなって しまいますよ」

「いいんだ。あの こ が しあわせ に なれる の なら、め が みえなくとも」

「おうじさま・・・」

 ひと の しあわせ の ため に じぶん の め を なくした おうじ を みて、ツバメ は けっしん しました。

「おうじさま、ぼく は もう たび に でません。ずっと、おそば に います。

 そして、おうじさま の め の かわり を します」

「ツバメくん。ありがとう」

 それから ツバメ は まちじゅう を とびまわり、まずしい ひとたち の くらし を みて は おうじ に はなして きかせました。

「それでは、ぼく の からだ に ついている きん を ぜんぶ はがして、まずしい ひとたち に わけて くれないか」

「わかりました」

 ツバメ は いいつけどおり おうじ の からだ から きんぱく を はがす と、まずしい ひとたち に とどけて やりました。



 やがて、そら から ゆき が まいおちて きました。

 とうとう、ふゆ が きたのです。

 さむさ に よわい ツバメ は、こごえて うごけなく なりました。

「ぼく は、もう だめ です。おうじさま、さようなら。よいこと を して、ぼく は しあわせ でした」

 ツバメ は さいご の ちから で おうじ に キス を する と、そのまま ちからつきて しんで しまいました。

 パチン!

 その とき、おうじ の しんぞう が かなしみ に たえかねて、はじけて しまいました。



 つぎ の あさ、まち の ひとたち は しあわせ の おうじ の ぞう が、すっかり きたなく なっている のに きづきました。

「うつくしくない おうじ なんか、とかして しまおう」

 ところ が ふしぎ な こと に、おうじ の しんぞう だけ は どんな に しても とけませんでした。

 そこで おうじ の しんぞう は、そば で しんでいた ツバメ と いっしょ に すてられました。



 そのころ、かみさま と てんし が この まち へ やってきました。

「てんし よ。この まち で いちばん うつくしい もの を もって おいで」

 かみさま に いいつけられて てんし が もってきた のは、おうじ の しんぞう と ツバメ でした。

 それ を みて、かみさま は うなずきました。

「よく やった。これこそ が、この まち で いちばん うつくしい もの だ。

 おうじ と ツバメ は、たいへん よいこと を した。この ふたり は、てんごく に つれて かえって やろう」

 こうして ひとびと を たすける ため に しんだ おうじ と ツバメ は、てんごく で しあわせ に くらした の です。

おしまい

前のページへ戻る

福娘のサイト
366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
Hukumusume fairy tale collection
世界と日本の童話と昔話
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識