3月25日のイソップ童話
人とサチュロス
むかしある男が、腰から上は人間で、腰から下がヤギのからだという、半人半獣のサチュロスと友だちになりました。
冬が来て寒さが身にしむようになると、男は両手を口のところへ持っていって、フウフウ息を吹きかけました。
「どうして、そんなことをするのかい?」
と、サチュロスがたずねました。
男は、
「手がつめたいから、息であたためているんだ」
と、答えました。
その後、食事がはこばれてきました。
とても熱い料理でした。
男はすこしずつとりわけて、口のところへ持っていって、フウフウ息を吹きかけました。
「どうして、そうするのかい?」
と、またサチュロスがたずねました。
「あんまり熱いから、息でさましているんだ」
と、男は答えました。
するとサチュロスは、
「いやはや、なんてことだ。ぼくは、きみの友だちをやめるよ。同じ口から熱さと冷たさをはきだすなんて、そんな人と友だちになってはいられないよ」
わたしたちも、得体の知れない人とは、友だちにならないようにしましょう。
おしまい
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