9月14日のイソップ童話
ライオンとオオカミとキツネ
ライオンが年をとって病気になり、ほら穴にねていました。
動物たちはみんな、王さまライオンのお見舞いにきましたが、キツネだけはきません。
そこでオオカミは、ここぞとばかり、ライオンにキツネのわるぐちをいいました。
「あいつはもともと、王さまをうやまう気持ちがぜんぜんないのです。だからこのとおり、お見舞いにもこないのですよ」
ちょうどそのとき、キツネがやってきました。
ライオンはキツネを見ると、
「ウォーッ!」
と、怒りのほえ声をあげました。
しかしキツネは、
「ちょっとお待ち下さい。おそくなったわけを説明しますから」
と、おちつきはらって、
「さて、ここにおおぜいの動物があつまっていますが、この中で、わたしほど王さまのためにつくしたものがいるでしょうか? なにしろ、わたしはあっちこっちの医者をたずねて、王さまをなおす薬はないかと聞いてまわったのですよ。そして、ちゃんとみつけてきましたからね」
ライオンはニッコリ笑うと、
「そうか、そうか。それはすまなかった。では、いますぐその薬をおしえてくれ」
と、たのみました。
「それは、生きたオオカミの皮をひんむいて、あたたかいうちにそれでからだをくるむことです。とくに、人のわるぐちを言うオオカミがよいそうです」
キツネがこう言ったので、たちまちオオカミは殺されてしまいました。
このお話しは、人をおとしいれようとたくらめば、自分がワナにはまってしまうものだとおしえています。
おしまい
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