1月15日の日本の昔話
わらしべ長者
むかしむかし、ある若者が、お寺で観音様(かんのんさま→詳細)にお願いをしました。
「どうか、お金持ちになれますように」
すると、観音様が言いました。
「ここを出て、はじめにつかんだものが、お前を金持ちにしてくれるだろう」
喜んだ若者は、お寺を出たとたん、石につまずいて、スッテンと転びました。
そしてそのひょうしに、一本のわらしべ(イネの穂の芯)をつかみました。
「観音様がおっしゃった、はじめにつかんだものって、これのことかなあ? とても、これで金持ちになるとは思えないが」
男は首をひねりながら歩いていると、プーンと一匹のアブが飛んできました。
男はそのアブをつかまえると、持っていたわらしべに結んで遊んでいました。
すると、向こうから立派なくるまがやってきて、中に乗っている子どもが言いました。
「あのアブが欲しいよう」
「ああ、いいとも」
男が子どもにアブを結んだわらしべをあげると、家来のものが、お礼にミカンを三つくれました。
「わらしべが、ミカンになったな」
また歩いていると、道ばたで女の人が、のどがかわいたと言って、くるしんでいます。
「さあ、水のかわりに、このミカンをどうぞ」
女の人はミカンを食べて、元気になりました。
そしてお礼にと、うつくしい布をくれました。
「今度は、ミカンが布になったな」
男がその布を持って歩いていると、ウマが倒れて困っている男の人がいました。
「どうしました?」
「ウマが病気で倒れてしまったのです。町に行って布と交換(こうかん)する予定だったのに。今日中に布を手に入れないと、困るのです」
「では、この布とウマを交換してあげましょうか?」
若者が言うと、男の人は大喜びで布を持って帰りました。
若者がウマに水をやったり体をさすったりすると、ウマはたちまち元気になりました。
よく見ると、大変立派なウマです。
「今度は布が、ウマになったな」
そのウマをつれて、また若者が歩いていると、今度は引っ越しをしている家がありました。
そしてそこの主人が、若者の立派なウマを見て言いました。
「急に旅に出ることになって、ウマが必要なのじゃが、そのウマをわしの家や畑と交換してもらえないかね」
若者は立派な家と広い畑をもらって、大金持ちになりました。
一本のわらしべから大金持ちになったので、みんなはこの若者を、わらしべ長者(ちょうじゃ→詳細)と呼びました。
おしまい
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