2月6日の日本の昔話
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けんかがうつる
吉四六(きっちょむ)さん → 吉四六さんについて
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
その吉四六さんの隣の家の夫婦は、いつもけんかばかりしています。
「大体、お前がだな!」
「何よ! あたしのせいにするの!」
こんな風に大声を出して怒鳴り合うし、二人して物を投げつけるわで、それは大変な騒ぎです。
そこである日の事、吉四六さんは隣との間に、垣根をこしらえ始めたのです。
それを、たまたまやって来た庄屋さんが見て言いました。
「よう、吉四六さん。一体何をしてるのかね?」
すると吉四六さんは、
「何って、見れば分かるでしょう。垣根を作っているんですよ」
「それは分かるが、なぜ?」
「それはもちろん、隣の夫婦げんかが、こっちにうつらん様にですよ」
「ああ、この夫婦な。しかし、けんかという物は、うつる物じゃない。だから垣根など作っても無駄じゃ」
「いいや、うつりますよ」
「うつらんて」
吉四六さんも庄屋さんも、だんだん声が大きくなってきました。
「だから、うつらんといっているだろう!」
「うつりますとも!」
「うつるもんか!」
「うつるとも!」
「うつらん!」
「うつる!」
そこで、吉四六さんが言いました。
「ほら、けんかがうつったでしょう」
おしまい
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