4月18日の日本の昔話
たわけものと藪医者(やぶいしゃ)
山口県の民話
むかしむかし、あるところに、とても仲の悪い和尚と医者がいました。
ある日の事、和尚が法事に出かけると、田んぼのへりで二人の百姓がけんかをしていました。
「これこれ、どうした? なにを争っておる」
和尚がわけを聞いてみると、二人は田んぼのさかい目の事で争っていたのでした。
「そうか。それならば・・・」
と、和尚はうまく田のさかい目をわけてやって、二人を仲直りさせたのでした。
ちょうどそこへ医者が通りかかり、この話を聞くと大笑いしながら、
「あはははは。和尚は『たわけ者』だからな。だから、田を分けるのは上手じゃろうて」
と、悪口を言うと、向こうへ行ってしまいました。
「なに! わしがたわけ者だと!」
腹のたった和尚は、なんとか医者に仕返しをしてやろうと考え、小僧に言いつけました。
「急病だから、早く医者を呼んできてくれ」
しばらくすると、小僧に話を聞いた医者が飛んできました。
「どうした! 誰が悪いんじゃ!」
すると和尚は、すませた顔で、
「ああ、実はな、裏の竹藪が病気なんじゃ」
と、答えました。
すると医者は、
「竹藪? わしは人をなおす医者じゃ! 竹藪の病気などなおせんわい!」
と、文句を言いました。
すると和尚は、この時とばかりに、
「人がお前さんの事を『藪医者』というとったから、きっと竹藪の病気もなおせるんじゃと思っとったわい。あはははは」
と、見事にさっきの仕返しをしたのです。
おしまい
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