8月13日の日本の昔話
ウサギとカメとフクロウ
和歌山県の民話
むかしむかし、由良(ゆら→和歌山県のほぼ中央)の小山に、ウサギとカメとフクロウが住んでいました。
ある日の事、ウサギとカメがかけっこをする事になり、空を飛べるフクロウが審判を引き受けました。
「ヨーイ、ドン!」
フクロウの合図に、ウサギとカメは、ピョンピョン、ノソノソと、かけ出しました。
「へへーん。ウサギがカメに負けるものか」
先を走るウサギが、もう少しでゴールという時、空からフクロウが言いました。
「ウサギさん。カメさんは、もうとっくにゴールについているよ」
「なんだって! そんな馬鹿な事があるものか!」
ウサギがあわててゴールにかけ込んでみると、先についたカメがゆうゆうと汗をふいているではありませんか。
「うそだ! ウサギがカメに負けるなんて、こんなおかしな事があるものか!」
ウサギは、もう一度カメと勝負をしましたが、今度も負けてしまいました。
「わーん! カメに負けてしまったよー!」
ウサギはくやしくてくやしくて、小山の木かげにかくれて泣き続けました。
そしてあんまり目をこすったので、ウサギの目はまっ赤になってしまいました。
そこへ神さまが現れて、ウサギに声をかけました。
「これこれウサギよ、もう泣くんじゃない。
お前は、フクロウとカメにだまされたんじゃ。
お前と一緒に走ったカメは山の中で引きかえし、小山の向こうで待っていたカメが先にかけ込んだのじゃ」
それから神さまは、二匹のカメを捕まえて、
「この、おうちゃく者め!」
と、つえで背中を叩きました。
それでカメの背中は、ひびだらけなのです。
次に神さまは、フクロウを捕まえて、
「この、ろくでなしめ!」
と、フクロウの目玉をつえで叩きました。
それでフクロウは、夜しか目が見えなくなったのです。
おしまい
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