8月23日の日本の昔話
モグラの目が見えないわけ
岡山県の民話
むかしむかし、あるところに、一匹のモグラの大将がいました。
「いくら世界広しといえども、モグラより穴掘りの上手な奴はおらんだろう。
だから世界で、モグラが一番えらいんだ。
・・・だが、さすがのおれたちも、土の上に出るとおてんとうさまがギラギラと照らすので、背中が熱くなって困る。
どうにか、ならないものか」
するとそこへ物知りのモグラがやってきて、大将のモグラにこう言ったのです。
「それならハギの木の枝を切って、弓をこしらえてはどうでしょうか?
ハギの弓は良く飛びますから、その弓でおてんとうまを射ち落としましょう」
「なるほど。よし、そうしよう」
そこでモグラの大将はハギの枝で弓矢を作ると、空に浮かんでいるおてんとうさまに狙いをつけました。
「おてかとうさま、覚悟しろ!」
ビューーーン!
こうして放たれた矢は、見事おてんとうさまに命中しました。
そしておてんとうさまの一部が欠けて、辺りが暗くなったのです。
これが、日食の始まりだと言われています。
さて、おてんとうさまが欠けて暗くなったので、モグラの大将は仲間のモグラたちを引き連れて、大いばりで地上に出ました。
「ああ、いい気持ちだな。風というものが、こんなに気持ちいいとは知らなかった。なにしろ土の中では、風はふかんかんな」
モグラたちがのんびりしていると、いつの間にかおてんとうさまの傷が治って、おてんとうさまがいつもよりもずっと強く輝いたのです。
「わあ! まぶしい!」
それを見たモグラたちはあわてて土の中にもぐりましたが、その時におてんとうさまの光で目をつぶされてしまいました。
こうしてモグラは、目が見えなくなったのです。
おしまい
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