きょうの江戸小話
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7月20日の小話

サギの生けどり

サギの生けどり

「おれは、ゆうべ、ひと晩中考え続けて、やっとサギ(コウノトリ目サギ科の鳥の総称)の生けどり方を考え出したぞ」
「おまえもよっぽどひまなやつだ。そんなに大げさに考えなくても、アミを使えばなんでもないさ」
「いやいや、それが道具なんかを使わないで、手でつかまえるのさ。まず、サギを見つけたら、いそいで近くのアシ草の中に、とっぷりとすがたをかくしてな、大きな声で、『サギ!』とよぶのさ。すると、よばれたサギは、おどろいてうしろをふり向くが、よんだ相手がどこにもいないので、向こうを向いて歩きだす。それを見とどけてから、また大きな声で、『サギ!』とよぶのさ。よばれたサギは、ばか正直に、またうしろを見るが、やっぱりだれもいないのであきらめて、二、三歩歩きはじめるにちがいない。そこをかまわずに、またしつこく、『サギ!』とよびかけるのさ。それを何回もくり返しているうちに、サギは、もうばかばかしくなってな、今度は、何度よばれてもうしろを見なくなってしまうはずだ。そうしたら、気づかれないようにアシ草の中から出て行ってな、遠くでよんでいるようにおもわせるために、よぶ声を、だんだん、だんだん小さくしていきながら、そーっとちかづいていってな、うしろから、パッととっつかまえるのさ」

おしまい

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