1月21日の日本民話
二つのおむすび
福岡県の民話
むかしむかし、あるところに、大きなネコと小さなネコが住んでいました。
ある日の事、二匹のネコはおむすびをひろいました。
大きなネコがひろったおむすびは小さく、小さなネコがひろったおむすびは、大きなおむすびでした。
そこで大きなネコが、小さなネコに言いました。
「お前は体が小さくて、おいらは体が大きいから、そのおむすびと、とりかえてくれ」
「いいや、お前はもう体が大きいから、小さいおむすびでよい。おいらはもっと大きくならないといけないから、大きなおむすびを食べるよ」
そう言って、小さいネコは、大きなおむすびをはなしません。
「そんなことはない。むかしから大きなものはたくさん食べ、小さいものは少なく食べるにきまっている」
どっちのネコも、負けていません。
そしてとうとう、けんかになってしまいました。
「よし、それなら、どっちの言うことが正しいか、だれかに聞いてみようじゃないか」
「いいとも」
そこで二匹のネコは、サルのところへ相談にいきました。
「なるほど、どっちの言うことも、もっともだな」
サルは、しばらく腕を組んで考えていましたが、
「こうしてはどうだ。二つのおむすびを、同じ大きさにして食べたら」
と、言いました。
「いいとも、さんせい」
大きなネコが言いました。
「ぼくもいいとも、さんせいするよ」
小さなネコも言いました。
「では、おむすびの大きさをくらべるから、ここへ出してくれ」
サルははかりを持ってきて、両手に二つのおむすびをのせました。
「うむ、こっちの方が、だいぶ重たいぞ」
サルは、大きな方のおむすびを一口食べました。
でも、まだ同じ重さになりません。
「こっちがまだ重たい」
と、言いながら、大きいほうのおむすびをパクパクと食べて、はかりにのせました。
そのうちに、小さなネコのおむすびが軽くなってしまいました。
「こりゃいかん。今度はこっちが重そうだ」
今度は、大きいネコのおむすびを一口食べました。
「あっちが重い、こっちが重い」
そうこう言っているうちに、サルはとうとう、おむすびを二つとも食べてしまいました。
二匹のネコはガッカリして、泣きながら帰って行ったという事です。
おしまい
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