2月22日の日本民話
イノシシを退治した侍
静岡県の民話
むかしむかし、伊豆(いず→静岡県の東部、伊豆半島および東京都伊豆諸島)の小さな村の竹やぶに、侍(さむらい)のお墓(はか)がありました。
お墓のある竹やぶは、おいしいタケノコがとれるところですが、この季節(きせつ)になるといつもイノシシたちが先にやってきて、タケノコを食いあらしてしまうのです。
楽しみにしていたタケノコをほとんどイノシシに食われてしまったので、お寺のお坊さんはくやしくてたまりません。
そこでつい、侍のお墓にむかって、
「聞くところによると、むかしあんたは、いっぺんに何人もの悪人をやっつけたので、その勇敢(ゆうかん)な行いでほうびをもらったというが、死んでしまったらイノシシさえ追い払うことが出来んのか? わしの寺はまずしいので、ここのタケノコを売ってなんとかくらしておるのに、このざまではどうにもならん。そなえもののお茶も、もう出せぬ。今度こんなことがあったら、このお墓をこわしてしまうぞ!」
坊さんは、墓をたたきながらいいました。
その言葉をお墓の中の侍が聞いていたのか、次の日の朝、お坊さんが新しいタケノコを探しに竹やぶへいってみると、あの侍のお墓の前に、大きなイノシシが死んでいたのです。
それからというもの、イノシシはこの竹やぶに近づかなくなりました。
そして次の年の春からは、おいしいタケノコがたくさんとれるようになったという事です。
おしまい
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