11月16日の日本民話
ぐつとおかま
長野県の民話
むかしむかし、ある村に、ぐつという名の男の子がいました。
ぐつの村では、あんまりお米がとれないので、いつもヒエめしや、アワめしを食べています。
ある日、おばあさんがめずらしくお米をとぎ、かまどに火をたきつけると、ぐつにいいました。
「ばあちゃん、ちょっくら用たしにいってくるで、ぐつは、かまどのばんをしてろな」
「うん、いいよ」
「すこしするとな、おかまがにえたって、ぐつぐつというだ。そしたらぐつ、お前がよばれたと思って、ふたをずらしとくれ」
「うん、いいよ」
ぐつがばんをしてると、おばあさんがいうように、おかまがぐつぐつとよびました。
「はーい、おかまどん」
ぐつはいわれたとおり、台の上へのぼって、おかまのふたをすこしずらしました。
ところがおかまはまだにえたって、ぐつぐつというのです。
「はーい、はーい」
何度返事をしても、まだ、ぐつぐつ、ぐつぐつというのです。
とうとう、ぐつはおこってしまって、
「このおかま、おらがへんじしてるのが聞こえねえのか!」
と、いうと、ふたをけとばして、たきぎや石ころをなげこみました。
やっとぐつぐついわなくなったので、ぐつが安心していたら、おばあさんがもどってきて、
「なんて事をしてくれたんだ。これでは、ごはんが食べられねえでねえか」
と、おこられてしまったという事です。
おしまい
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