きょうの新作昔話
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2008年 6月12日の新作昔話
豆の木になった子どもたち
ベトナムの昔話
むかしむかし、あるところに、青ちゃん、紅ちゃん、白ちゃん、黒ちゃんという女の子がいました。
青ちゃんは、いつも緑色の服をきていました。
紅ちゃんは紅色の服を、白ちゃんは白い服を、黒ちゃんは黒い服をきていました。
四人はとても仲良しで、どこへ行くときも一緒でした。
ある十五夜の晩、お祭りがあるというので、四人は山の向こうの村へ出かけました。
村の子どもたちはみんなまっ白な服をきて、楽しそうにおどっています。
子どもたちは四人を見ると、すぐにそばにやってきて、
「一緒におどろうよ」
と、言ってくれました。
でも、四人は、
「よその村の子とおどるのはいや!」
と、言って、四人だけで手をつないでおどりました。
「なんて、わがままな子どもたちだ」
ヤシの木の上にいた風じいさんが、顔をしかめました。
「おーい、雲ばあさん、ちょっくら月姉さんのとこへ行って、四人の子どもをしかるように言ってくれ」
言うなり、風じいさんは雲ばあさんの背中を押しあげました。
雲ばあさんは、月姉さんのところまでのぼっていき、
「月姉さん、あのわがままな四人の子どもを、しかっておくれ」
と、言いました。
月姉さんも、さっきから四人を見て怒っていたところでした。
「わかりました。あの子どもたちを、豆の木にかえてしまいましょう」
そういって月姉さんは、手に持っていた魔法の杖をさっとひとふりしました。
そのとたん、青ちゃんは青豆の木に変わりました。
つづいて紅ちゃんはあずきの木に、白ちゃんは白豆の木に、黒ちゃんは黒豆の木に変わりました。
それから村の子どもたちも、みんな仲良くなるようにと、いねのなえに変えてしまいました。
「みんな仲良くできるようになったら、また出てきますからね」
月姉さんはそう言うと、雲ばあさんの後ろに姿をかくしてしまいました。
田んぼの中のいねも、そのまわりにある四本の豆の木も、ぐんぐん大きくなり、やがてもみがらの中からは、お米になった子どもたちが次々とあらわれました。
青豆の木からは青豆になった青ちゃんが、あずきの木からは赤いあずきになった紅ちゃんが、白豆の木からは白豆になった白ちゃんが、黒豆の木からは黒豆になった黒ちゃんが、元気にとびだしてきました。
村の人たちは十五夜の晩になると、この豆やお米を一緒にして、おいしいおかゆをつくることにしました。
そして、そのおかゆをお月さまにそなえて、
「お月さま、みんな仲良くなりましたよ」
と、言って手を合わせると、
「そう。それはよかったわ」
と、お月さまはとても喜んで、雲の中から顔を出してくるそうです。
おしまい
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