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2008年 9月24日の新作昔話
鬼七兵衛(おにしちべえ)の大力(たいりき)
兵庫県の民話
むかしむかし、城崎の来日(くるひ)というところに、とても力の強い百姓がいました。
名前を『鬼七兵衛(おにしちべえ)』という、大男です。
さて、いつの頃からか来日の村の入口にある『堂々(どうどう)の辻地蔵(つじじぞう)』というところに、恐ろしい化け物が住みつくようになったのです。
そしてそばを通る百姓を、片っぱしから食べてしまうのです。
その化け物が、鬼七兵衛のうわさを聞いて、
「ぜひ、力比べをしたいもんじゃ」
と、鬼七兵衛に果たし状を出したのです。
そして鬼七兵衛も、
「村人をいじめる化け物めが、このわしが退治してやるわ」
と、申し出を受けました。
しかしいくら大力の持ち主とはいえ、相手が化け物では勝てません。
鬼七兵衛は何を考えたのか、その日になると家でえんどう豆を煎り始めました。
そうしてそれを左のたもとに入れ、右のたもとには小石を入れて出かけて行きました。
やがて化け物が現れると、鬼七兵衛は左のたもとの豆を口に入れて、バリバリと音をたてて食べ始めました。
そして右のたもとの小石をつかむと、
「ちょっと固いが、お前に食えるか?」
と、化け物にさし出したのです。
「ふん。人間のお前に食える物が、わしに食えないはずがないわ」
化け物は小石を口に入れましたが、さすがの化け物も小石をかみ砕く事は出来ません。
「うぎゃあーー! 歯が痛いー!」
歯がボロボロになった化け物は、泣きながら逃げていき、それから二度と姿を見せなかったと言う事です。
おしまい
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