きょうの日本民話
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2008年 12月24日の新作昔話
カニの甲羅の毛
鹿児島県の民話
むかしむかし、サルとカニが餅をつくことになりました。
「カニどん、おらが餅をついてやるから、カニどんは餅米を持ってきてくれ」
カニは家から餅米を持ってくると、サルに渡しました。
「よしよし。ではカニどん、おらが餅をついてやるから、カニどんはこの餅米を蒸してくれ」
カニは言われた通り、餅米を蒸しました。
「よしよし、ではカニどん、おらが餅をついてやるから、餅をつくためのうすときねを持ってきてくれ」
カニはうすときねを持っていなかったので、山へ行って木を切り倒し、自慢のハサミでうすときねを作りました。
カニからうすときねを受け取ったサルは、やれやれと言うように首を横に振って、
「だめだめ。うすはいいが、こんな曲がったきねじゃ、餅はつけんよ」
しかたなくカニはまた山へ行って、きねにぴったりの木を探しに行きました。
さて、その間にサルは曲がったきねとうすで餅をつくと、その餅をもって柿の木に登ってしまいました。
やがてカニは、まっすぐのきねを持って帰ってきましたが、サルは木の上でつきたての餅を食べようとしています。
「やあ、カニどん。残念だけど餅は全部いただくよ。ほしかったら、ここまできてみなよ。まあ、カニの足ではここまで登れないだろうけどね。ウッキキキ」
木の上からバカにするサルに腹を立てたカニは、持っていたきねでサルの登った柿の木を思いっきり叩きました。
ドーン!
するとその振動でサルはバランスを崩して、食べようとしていた餅を落としてしまったのです。
「しまった!」
サルが慌てて木から下りてみると、カニは餅をつかんで地面の穴の自分の家に持って行った後でした。
サルはカニの家の戸を叩くと、
「悪かったカニどん。あやまるから、おらにも餅をわけてくれ」
「・・・・・・」
カニは餅をしっかりとつかんだまま、返事をしません。
「わかった。カニどんが前から欲しがっていた毛を一本やろう。毛が生えていると暖かいぞ」
「・・・・・・」
「じゃあ、毛を二本でどうだ?」
「・・・・・・」
「じゃあ、毛を三本だ」
なんともせこい交渉ですが、意外にもカニは納得したらしく、サルから毛を三本もらうと餅を半分にして、片方をサルに分けてあげました。
その時からです。
サルの毛は三本少なくなって、代わりにカニの甲羅に毛が生えるようになったのは。
おしまい
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